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窮鼠はチーズの夢を見る


窮鼠はチーズの夢を見る、観てきました。めちゃくちゃネタバレしてます、多分。





前情報といえば大倉忠義と成田凌がいちゃいちゃチュッチュッしてますよ!ということだけで、原作があることも知らなかった私は「美しい男と美しい男が美しい恋愛をする映画」と思い込んで上映されるその日を待ちわびるだけでした。


いや全然美しくない。もちろん大倉忠義と成田凌はえも言われぬ美しさで、最初から最後まで隙がなくどこをとっても美しかったです。成田凌に至っては肌のきめ細やかさが、潤いがめちゃくちゃ伝わってきて恐れ慄きました。選ばれた男。

ただ、美しい恋愛なんてどこにもなかった。もうとにかく大倉忠義演じる大伴恭一(異性愛者)がクソ野郎なのだ。それに負けない成田凌演じる今ヶ瀬(同性愛者)のじっとりとした重さ。ずっと重苦しくて、湿ってる。それだけ好きなんだね。


「ハーメルンの笛吹きについていくネズミ」とはうまく言ったもので、大伴先輩は誰にでもホイホイついっていってホイホイ抱いて抱かれてのスーパー流され男で見ててイライラするのなんの。それに自分の不貞を責められれば「断れなかった」「向こうの気持ちを考えると」と言い訳ばっかり!それでも顔が美しいので観てるこっちは右手の拳を強く握りしめることしか出来ない。

今ヶ瀬も今ヶ瀬で「この世の美しいとあざといを鍋に入れっぱなしにしてたらこんなの出来ちゃいました…」とユートニウム博士もビックリ誰も手をつけられないほどの小悪魔っぷり。小悪魔でありながら不器用で、しっかり片思いなので感情がぐちゃぐちゃになりながら、自然と上を向く長い睫毛に嫉妬していました。ビューラーしてるん?


それにしても、大伴先輩と今ヶ瀬の濃厚接触がすごくて百合子に見せたら怒り狂うんじゃないかなってくらい密なんですけど、家だったら叫んでましたね。映画館でもちょっと叫びそうになったもん。


今ヶ瀬が登場した瞬間に「あ、もう大伴先輩のこと好きじゃん」と分かってしまうあの目線。これから恋に落ちるとかじゃないね、ずっと好きだったんだねと原作未読でも分かってしまった。成田凌のプライベート1ミリも知らないけど、この顔は好きな人見るときの顔じゃん!!!!!と大興奮。役者さんってつくづくすごい。


そしてどんどん今ヶ瀬にはまっていく大伴先輩。心の中の小5男子が「好きじゃん!お前今ヶ瀬のこと好きじゃん!」と騒ぎ立てるのを聞いてわたしも「な!絶対好きだよな!自分で分かってないだけでな!」と大盛り上がり。
今、同性愛者の結婚についてざわついていますが、好きになったら性別って関係ないんだ!と馬鹿みたいだけどそう思いました。同性愛者を受け入れられない人もいるかもしれないけど、別に受け入れる必要ってないんじゃないかな?そして、他の異性愛者の恋愛をわざわざ気にしないのと同じで、同性愛者の恋愛にもそんな息巻いて否定する必要なんて全くない。センシティブな話題でそこまで知識もないからあまり深くは言えないけど。


ネタバレするんですけど、最高すぎてクソデカため息ついてしまったシーンがあって、大伴先輩と今ヶ瀬のデートのシーンなのかな?ダイジェストっぽい感じだったと思う(ちょっと曖昧です)。大伴先輩と今ヶ瀬がアウター交換してるんですよ。大伴先輩の黒いアウターと今ヶ瀬のピンクのアウター、交換して着てるんですよ。大伴先輩が今ヶ瀬のピンクのアウター着てるんですよ。

今ヶ瀬そういうことしそうだよねーーーーーーーーー!!!!かわいいね今ヶ瀬ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!今ヶ瀬のお母さん今ヶ瀬のこと産んでくれてありがとねーーーーーーーーー!!!!!!とマスクの上からニヤける口を抑えて静かに天を仰ぎました。


あとは今ヶ瀬の誕生日に生まれ年のワインをプレゼントするんだけど、今ヶ瀬は「なくなっちゃうから飲まない」って大事に抱えるの(かわいい)。でも大伴先輩はサラッと「来年も買ってあげるよ」ってたやすく来年の約束しちゃうんだよ。ギルティ。涙目になりながら嬉しそうな顔をする今ヶ瀬。そりゃそうだよね、いつ終わるか分からないこの不安定な状況で、来年の約束してくれるなんて嬉しくて堪らないよね。本当今ヶ瀬かわいい。


美しいだけが恋愛ではなくて、苦しくて、切なくて、最低なこともあるけど、それでも好きな人を大事に思える心があるって素敵なことだなあと思いました。終わり方まで美しくてわたしは呆然としてしまったよ。幸せになってほしいけど、不幸になってほしい2人だった。ずっとずっと互いのことを思い合って苦しんでくれ。 

追記

原作を読んでみたら、台詞が映画の倍あって驚き。映画は原作と多少ことなる所もあったけど、重要な言葉を拾って伝えすぎずに、でも的確に伝わってきて素晴らしい作品でした。窮鼠、サイコー!