企業版ふるさと納税① ~企業と地方公共団体の連携促進の仕組み~
こんにちは。RCFの新倉です。
私からは、地方公共団体や企業が地方創生の取り組みに活用できる政策ツールとして、まず「企業版ふるさと納税」を取り上げ、数回にわたって、制度概要や活用事例などについてお伝えしていきます。
□企業版ふるさと納税とは
企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対して、企業が寄附を行うと、法人関係税の軽減が受けられるという制度です。
これにより、企業にとっては、より小さな負担で、CSR(企業の社会的責任)やCSV(共同価値創造)、SDGs(国連の持続可能な開発目標)の文脈から、地域での取組を支援し、協働していくことが可能となります。
また、地方公共団体にとっては、自らの創意工夫によって、事業に必要な資金を調達するとともに、地域創生のパートナーとして企業との関係性を深める契機にもなります。
□大幅な制度拡充
2020年(令和2年)の税制改正により、2020年度から2024年度までの5年間の特例措置として、制度の大幅な拡充が行われました。現在、2年目に入っています。
これにより、企業の寄附金額の最大9割まで軽減できるようになりました。
例えば、1,000万円寄附すると、最大約900万円の税が軽減されることになり、実質100万円の負担で1,000万円の事業規模を確保し、大きなインパクトをもたらすことができます。
留意点として、企業の本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外となること、地方公共団体から寄附企業への経済的な見返り(寄附の見返りとして補助金を受けたりなど)の禁止などがあります。
□地方再生計画の認定も大きく増加
企業版ふるさと納税を活用するためには、まず、寄附を受けようとする地方公共団体が「地方再生計画」を策定し、内閣府による認定を受ける必要があります。
令和2年の制度拡充の際、新たな計画を立てる必要はなく、ほぼすべての地方公共団体が策定済みの「地方版総合戦略」をベースに、関連する部分を幅広く記載することでよいことに緩和されました。
これらの申請の簡素化により、地域再生計画認定済みの地方公共団体数は、2021年3月末で全国1,141団体と、飛躍的に増加しています。
今後、この制度を活用し、企業と地方公共団体との連携をさらに進めることが求められています。
次回からは、地方公共団体や企業の具体的な取組事例を紹介します。
※本記事の図表は、内閣府「企業版ふるさと納税ポータルサイト」より抜粋またはRCFにて作成しました。
※RCFでは、特設サイト「RCF×企業版ふるさと納税」での情報発信も行っていますのでご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?