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ビルオーナーと賃借人の双方に利益があること

それは未来へ向けてのリノベーション

オフィス、事務所、店舗の原状回復に関するご相談で、もっとも多く引っかかるのが「指定業者問題」です。

前回「オフィス移転時の指定業者って、なんだろう…」で述べたようにオーナー側は「信頼のおける業者に頼みたい!」それは、わかります。
しかし、テナント側としても「安くて、信頼のおける業者に頼みたい!」のも当然です。
どうすれば、お互い納得がいき、気持ちよく賃貸借契約を締結できるのでしょうか。

現時点では、契約事項をもつビルオーナー側の方が強いと感じます。
賃借人の心理としては、解約時のトラブルにより、ブラックリスト的に情報が流通し、次の移転先を借りられないのでは?と心配になります。ゆえに、ビルオーナー側の顔色を見ながら高い見積にも承諾せざるを得ない、という事例が後を絶ちません。
原状回復に関しては、この他にも本当に誰が聞いてもおかしな話が多々あります。
原状回復という制度があるのは実は日本だけです。
「借りたときの状態と同じ状態に戻す工事を施す」という行為そのものが、非合理的かつ非生産的であり、今ある建物をよりよくするためにこそ費用と労力は費やされるべきだと考えます。
海外では、古い建物を大切に利用する街区づくりや都市再開発の考えがあります。百年以上前の歴史的建造物の外観にして、中は非常に近代的なオフィスとして利用されているというケースはよく目にするでしょう。
原状回復とは借りたときの状態に時間を遡りさせる行為です。原状回復を義務化することで建物のリノベーションが進まないのです。
今こそ日本においても、原状回復という慣習の弊害から抜け出し、スクラップビルト型の都市再開発偏重の都市政策を見直して、費用(投資)と現有資源の有効活用を図り、地球環境にやさしい再生型の都市環境としていくべきです!それこそが、両者にとって利益のあることと私たちは考えます。

まとめ

話が大きくなりましたが、我々協会は、数多くの事例から原状回復問題についての様々な知見をもち、さらには原状回復の制度そのものに対する理想を掲げ、日々活動しています。
オーナー側と賃借人側双方の利益を確認しあう、それでこそ初めて皆さんの納得のいく原状回復対応が行えるものと考えます。
「緻密な見積精査から、将来の投資効率を踏まえた展望予測まで!」
幅広い視点をもってビルオーナーと賃借人双方の利益を考えていくこと。
それが、原状回復を円満に進めていく重要な要素となります。

私は言いつづける
「目指せ! Social Goodな原状回復」