レイプクライシス・ネットワーク
LGBTIQと性暴力被害 —セクシュアリティを理由に受けられないサービスがある—

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全てのサバイバーの、最初の一歩を応援したい

RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)は設立以来一貫して「オールジェンダーでのサポートシステムの構築」を掲げて来た。広報媒体や講座内容などは勿論、全てに排除されるセクシュアリティ/ジェンダーの人が居ないか?ということを一番最初に考える。また、どれかのセクシュアリティ/ジェンダーに特化した発信を行う際にはその理由を明確に答えられる準備をしてから取組むようにしてきた。それは単純に、設立者のセクシュアリティであるとか、これまで関わって来た市民活動などの影響(性教育、HIV/AIDSの予防啓発等)でもあるが、一番大きな契機として明確な出来事がある。今日は、その話を軸に書いていきたいと思う。

RC-NETを始めた際にHPに最初に書いた言葉は「全てのサバイバーの、最初の一歩を応援します」。私たちを選ぶかどうかはそれぞれの選択として、何はなくともここに辿り着いた人を裏切らない運営をしたいと思っていた。出来る事は限られているし、現実的には足りないことばかりなのだが、今もその気持ちに変わりは無い。そうした中でも特に排除されやすい属性の人たちとして、RC-NETではLGBTIQやセックスワーカーなどへのサポートを積極的に打ち出してきた。

なんかあったら「助けて」ってまず言える社会でなくては、誰も最初の一歩を踏み出せもしないから。


無視され、踏みにじられた想いを理解する

今回ここで書きたいのは「LGBTIQの性暴力被害について対応してください」ということではなく、「どれだけのLGBTIQが想定もされず、対応されない/無視されてきたのか」をまず理解してもらいたいということ。対応されず、無視されてきた被害の中で、どれだけ多くの絶望が生まれ、どれだけ多くの信頼を「被害者支援」が裏切ってきてしまったのか、と。それは、自戒を込めつつ、ずっと考えてきたことだ。

なぜ、そんなことを言うかというと「LGBTだって関係ないじゃない?」「LGBTを理解しよう」なんていうことを言っても、実際の困難がどこにあるのかが分からなければ、繰り返してしまうから。ワンストップセンターなどの相談員から「一応LGBTの研修も受けたので相談は聞けます」ということを最近よく聞くことがあるが、内容としては「Lとは〜」という話や、よくて「自殺リスクが高い」ということ、相談を聞けると言った相談員の口から「でも、病気だから、可哀想ですよね」という言葉も聞いたことがある。要は、「その程度の研修」しか受けていない人も多いということだ。

一度、これまでを振り返ってもらえたらと思う。強姦罪が改正され、強制性交等罪となり、これまでよりは少し、被害者/加害者として想定される者の性別の枠が広がった。付帯決議ではあるが、「性的マイノリティへの不当な取り扱いしない」という文言が入ったことの意味合いは大きい。


(この文章は、現実の事例をもとにした、性暴力被害に関する描写を多く含みます。フラッシュバック等の精神的不調をきたす可能性のある方は読むのをやめる、もしくは安心出来る場所や安心出来る人と一緒に読んでください。今、読めないことは何も悪いことではありません。)


希望なのか、絶望なのか

「死ぬ前に、一人でもいいし、嘘でもいいから優しい人と話してみたかった」

ビルの屋上に立ち、そんな思いで性暴力被害に関する電話相談に電話をしたトランス男性がいた。インターネットで調べて携帯に保存した電話番号。勇気を出し尽くして発信のボタンを押した。

しかし、その思いが、その電話で叶えられることはなかった。

「男性の相談は受けられません」

たったそれだけの言葉と、叩き付けるような電話を切る“ガチャッ!”という音が彼の耳元で響いた。その瞬間の事を彼は後に「絶望ってこういうことを言うんだって思ったなぁ」と言った。

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