【記者会見の服装は？】スポークスパーソンが特に注意したい所作とふさわしい服装

前回までクライシス・コミュニケーションにおけるスポークスパーソンの役割や、メディア対応の基本について書きました。

記者会見を成功させるためには、伝える内容はもちろん、スポークスパーソンの発信するメッセージの２つの要素である、「話し方（バーバル情報）」と「見た目（ノンバーバル情報）」にも十分な配慮が必要になります。

時に会見の様子がテレビで放映される、YouTubeで公開されるといった場面では、これらの要素は、特定の状況に適したものである必要があります。そこで今回は、記者会見で注意すべき所作と、ふさわしい服装について書きたいと思います。

記者会見で注意すべき所作とは？

記者は、スポークスマンの些細な所作から、動揺や怒りといった感情の起伏を示すサインを読み取ります。対応を誤ると、更なるリスクを引き寄せる恐れがあります。記者会見における二次リスクを最小化できるよう、次のような点に注意が必要です。

①控室（入室前と退出後）
・常に気を抜かない（控室の音声を拾う記者もいることを念頭に、記者がその場にいない場でも発言に気をつける）

②入室から着席まで
・定時に入室し、登壇者が全員そろったら、深く（60度）お辞儀をする
・司会が登壇者の紹介を行う場合、紹介された登壇者は深く（60度）お辞儀をする
・謝罪をする場合は、立って正面を一度しっかり見て、深く（90度）頭を下げゆっくり10カウントほど数える（複数のスポークスパーソンがいる場合は、頭を下げるタイミングと上げるタイミングを合わせる）
・原稿を手に持って読み上げる場合、手が震える可能性があるため、演壇を用意するか、手に持たないなど工夫をする
・原稿を棒読みしない
・会見内容の説明後、「失礼ですが、ここで着席させていただき、ご報告を続けさせていただきます」と断ってから座る
・胸と机の間が空きすぎないように着席し、背筋を伸ばす

③着席後
・原稿を読み上げるときは棒読みせず、時折全体に視線をくばす
・質問した記者を見て回答し、アイコンタクトを心がける
・手は膝の上に置き、あまり動かさないに気をつける
・マイクは出来るだけ意識しない（落ち着きがないように見える）
・身体を左右に動かす、髪の毛やメガネ、ボールペンなどむやみに触らない（この種の挙動は、動揺を示すサインとして受け止められる可能性がある）
・出来るだけ用意した原稿に、目線を落とさない
・記者の好ましくない、嫌な質問や態度に感情的にならない（感情を抑制できないスポークスパーソンとして、発言内容の信頼性まで失います）
・最後は「ご報告は以上でございます」と締めくくり、必要に応じて全員で立ち上がり再度謝罪のお辞儀をする

記者会見にふさわしい服装は？

男性の場合、以下のような身だしなみを心がけましょう。
・柄物のスーツやネクタイ、ストライプやチェックは避ける
・ネクタイは地味なものを選び、目新しいデザインは避ける
・スーツの上着はボタンで留める。
・スタイリッシュで派手な服装ではなく、コンサバティブな服装が適している
・靴下はスーツより濃い色のものを履く。ズボンの裾が上がってくることがあるので、長めの靴下で足首が見えないようにする
・髪型は、清潔感を重視し、きれいに整える
・可能であれば、髭は剃る

女性の場合、以下のような身だしなみを心がけましょう。
・信頼感を与えるために、仕立ての良い服を選ぶ
・カメラに映りを考慮し、中間色や落ち着いた柄の服を選ぶ
・スーツがセットカラーと同じでも、背景に溶け込まないように、対照的なショールやスカーフを持参する
・暗い色の靴を履く
・派手な宝石や光沢のあるアクセサリー、ジャラジャラしたアクセサリーは身につけないようにする
・メイクは控えめに、明るい色のネイルは避ける

男性も女性も、次のような身だしなみを心がけましょう。
・照明の下で肌が光っている場合は、必要に応じてパウダーを塗ってもらう
・メガネをかける場合、色付きレンズは使わない
・腕時計、ブレスレット、指輪などは外す

次回は、実際に記者会見の開催手順や、広報が準備するべきタスクについて、書きたいと思います。

【書いた人】

大杉 春子/コミュニケーション戦略アドバイザー

民間企業・地方自治体・省庁などのパートナーとして、PR戦略の策定から広報物の制作監修まで支援。コミュニケーション戦略における「攻め」と「守り」の両軸から経営広報の施策をサポート。2020年に専門家らとともに、日本リスクコミュニケーション協会を設立し、リスク管理から危機管理広報までを網羅した、リスクコミュニケーション人材の育成を展開する。

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