見出し画像

どこまでやればいいか?スシローぺろぺろ事件から考える、飲食業の「バイトテロ」「客テロ」対策

今、回転ずし大手スシローの「迷惑動画事件」が話題になっています。

一部の客が、テーブルに置かれたしょうゆ容器をなめる、唾をつけた指で回転している寿司のネタや湯呑みにさわる、といった迷惑行為の動画がSNS上で拡散され、「もう回転ずしに行けない」などと声が上がり問題になったものです。

時価総額は168億円下落は酷い

少しだけ潔癖のけがある私も、このニュースを目にした時思わず鳥肌が立ちました。同じように不快な気持ちになった方は少なくなかったようで、スシローを運営する東証プライム上場企業のFOOD&LIFE COMPANIESは、問題があった1月31日に株価は約5%、時価総額は168億円も下落しました。

「バイトテロ」の次は「客テロ」と続く対応に追われる飲食業の苦労を考えると、心が痛くなりいたたまれない。。。おそらく迷惑客は悪ふざけの延長で、大きな悪意があっての行為ではなかったと想像はできますが、それにしても腹立たしい。
だって、スシローのように、学生や庶民の胃袋を満たしてくれる、安くて美味しくて衛生的な飲食店は日本には数多くあり、海外の方にも評判がいいんです。コロナ禍や価格高騰と厳しい情勢が続いたにも関わらず、各々がんばってて営業を続けてくれているのに、あんまりだと悲しくなりました。

そんな消費者心理を考慮してか、社会問題となった今回の事件に対して、スシローは「刑事・民事の両面から厳正に対処する」と発表しています。
同じような迷惑行為がつづかないためにも、大切な方針決定だと感じます。

スシローホームページ_2023/2/1ニュースより

スシローの迅速な対応や、会社のスタンスを明確に示した広報対応には、あっぱれと感じましたが、一体どこまで対応すればいいんだとげんなりしている飲食業の方や、B2Cの方も少なくないのではないでしょうか?

しかし嘆いてばかりもいられません。

そこで今回は、高度情報化社会の現代において、このような事件が起こったときどのように対応すればいいか、どのような予防策をやればいいか、少しでもヒントになるような情報をお伝えしたいと思います。

近年海外で話題になった客の迷惑行為

実は近年、海外でも飲食店での迷惑行為が話題になっています。

例えば最近は、食事をしてお金を払わずに帰る「Dine and Dash(ダインアンドダッシュ」(ようは食い逃げですね)。また、自分の気前の良さをアピールする目的で、多額のチップを渡す動画や写真を投稿するソーシャルメディアのトレンド「Food Tipping Challenge(フードチップチャレンジ)」は、2020年代後半にTikTokを中心とした様々なプラットフォームで話題となりました。(Food Tipping Challengeが迷惑行為とみなされるかどうかは、個人の見解ですが、店員や他の客に混乱や恥をかかせる思いやりのない行為だと考える人もいました)

おそらく飲食店では、昔から存在していたであろうこれらの迷惑行為は、SNSの情報発信拡大により、より多くの人々が目にするようになりました。これに対し飲食店オーナーやスタッフは、迷惑行為に対する不満や悩みを公言するようになり、政府や関係団体も対策を講じる流れになっています。

高度情報化社会の対策とコミュニケーション戦略

このように海外国内問わず飲食業においては、客とのトラブルや悪質な客テロなどのリスクがあり、高度情報化社会ではリスクの可視化のスピードが速まっています。ではこれらのリスクに対して私たちはどんなことができるでしょうか?

対応方法は実に様々ですが、以下のような方法が考えられます。

予防措置

  • 顧客の行動規約や注意事項を明確に定め、それに従って顧客を受け入れる。

  • トラブルや暴力予防のためのセキュリティシステムを整備する。

  • 店舗に注意書きを設置する。

  • 社員にトラブル対応のトレーニングを行う。

対応策

  • トラブルが発生した場合、社員が冷静かつ丁寧に対応する。

  • トラブルが深刻化する前に、警察などの関係機関に連絡する。

  • トラブル後も顧客とのコミュニケーションを取り続け、再発防止のための対策を講じる。

  • 法的措置を検討する。

ニュースは、ネガティブなものほど価値が高く注目度も高いんです。
ですので、一見するとピンチと思われる有事は、会社として何を大切にしているか、どこに向かっているのか、どんなことを実現したいのかといった会社のスタンスを世の中に知ってもらう絶好の機会といえます。なので、今回のスシローの法的措置を含めた厳正な対処は、これから利用するお客さんたちに安心感を与えたとても良い方針だと思います。

しかし、特に法的措置については、具体的にどのように行えばいいか、どこから手をつければいいかも分からない方がほとんどだと思います。
そこで、最近私が読んでとても分かりやすく、SNS関連の情報開示請求などの法的措置がスッキリ理解できたおすすめの漫画をご紹介したいと思います。SNSを使っている人なら誰もが被害者に、そして加害者になる現代にぴったりな漫画です。

以上のような方法を踏まえて、飲食業のリスクに対して適切な対応が行われることが大切ですが特に、悪質な客テロの場合は、社員や顧客の安全を確保することが最優先です。最善の対応は、証拠を集め、法執行機関を関与させることが重要です。そして同時に、顧客やステークホルダーからの信頼を得られるような対応やコミュニケーション戦略が必要です。

このnoteが少しでも皆さんのお役に立てたらうれしいです。

(追記)
日本リスクコミュニケーションでは、学生がSNSの利用に際しての注意点や扱い方について学ぶことができる「SNSリスク教育資料」を無償公開しています。
一方的な授業の形式ではなく、グループワークで学生自ら考えてもらえるように、ワークショップを3つ取り入れています。全国の学校法人と教育機関の方はどなたでも使っていただけます。


この記事が参加している募集

広報の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?