見出し画像

1人の老人の未来の話

 「じいちゃん、フランス行かね?」

 大学生になる孫が言ってきた。その手には既に旅行パンフレットが抱えられていた。

 「…じじいを海外旅行に誘うのお前だけじゃよ。」

 「え、だってじいちゃんフラ語話せるっしょ?」

 実はフランスには留学していた。孫には話したことはなかったはずだが、息子の仁志が言ったんだろう。

 「フランス語は話せるがな、じいちゃんお前さんたちより歩くの遅いぞ?」

 「ゆっくり観光できるじゃん。」

 「…食べ物にも気を使わなきゃいかんぞ?」

 「俺ダイエットしてるし、クロワッサン食えりゃいいよ。」

 あぁ、そういえばこいつは大学生だった。根っからの明るさも相まって、未来に希望しかないんだ。いい時期だな、と年寄りくさい考えになってしまう。

 「あ、もしかして9月なんかあんの?」

 こんなじじいでも、未来に希望持っていいのだろうか?

 「いや、久しぶりにエッフェル塔が見たくなってな。」

 孫とのパリ旅行。年寄りくさい未来だが、悪くないな。


 以上、らずちょこでした。

 ※この物語はフィクションです。

 ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

 ではまた次回。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?