見出し画像

1匹の生物の話

 小さい頃、テレビで言ってた。

 この世の中には、滝をのぼる金魚がいると。

 僕はそれを素直に信じた。滝をのぼる金魚は何よりも美しく、虹色に輝くらしい。

 だから、小さい頃は色んな図鑑を探した。でもいなかった。

 その内皆から呆れられた。

 「そんなものいない、金魚は滝をのぼる力などない。」

 親にも友達にも先生にも言われた。それでも僕は可能性を捨てたくなかった。

 ある日、僕は大学の教授に聞いた。金魚は滝をのぼれるのかと。

 「残念ながら、今知られている金魚にそんな習性を持つものはいない。」

 僕はその答えを聞いて落ち込んだ。そうしたら教授が続けた。

 「だが、いないとは言い切れない。この世にはまだまだ知られてない生物だっているのだ。」

 僕は顔をあげて教授を見た、教授は微笑んで言った。

 「私も見てみたい、滝を登り虹色に輝く金魚を。」

 それから僕は、生物学を研究した。

 この世にいるかもしれない、幻の金魚を求めて。

 以上、らずちょこでした。

 ※この物語はフィクションです。

 ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

 ではまた次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?