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NISTのAIRCはどのような組織か

米国商務省の所管の機関であるNISTの概要は、以下のとおりで、アメリカにある標準技術研究所である。元々は、物理化学研究所であった。

NISTの正式名称は、National Institute of Standards and Technologyで、日本では米国国立標準技術研究所と呼ばれている。NISTは、1901年に設立された最古の物理科学研究所である。現在は、米国商務省(Department of Commerce:DoC)の傘下の研究機関である。 NISTの成果は、スマート電力網や電子健康記録から原子時計、先進のナノ材料、そしてコンピュータチップまで幅広く、IT業界でもNISTが提供する最新技術、測定技術、技術標準に依存することが多くなってきている。
<引用>
NIST(米国標準技術研究所)とセキュリティ(その1)~概要編~ | NTTデータ先端技術株式会社 (intellilink.co.jp)

NIST(米国標準技術研究所)とセキュリティ(その1)~概要編~ | NTTデータ先端技術株式会社 (intellilink.co.jp)

このNISTが、2023年3月30日に、AIRCという組織を設立したのである。AIRCは、”Trustworthy and Responsible AI Resource Center”の略で、AIにおける技術的・科学的イノベーションを推進する米国内外の政府、産業界、学界の人々や組織を支援するプラットフォームであり、基礎的なコンテンツ、技術文書、標準、測定方法、測定基準、データセットのリポジトリハブ(通常、GitHubのようなオンラインのバージョン管理システムを指す)などのAIツールキットをワンストップで提供する役割を果たす。

HPによれば、AIRCのto DOは、以下に整理・要約される。
①AI RMFの知識ベース
(1)AI Risk マネージメントフレームワーク (RMF)
   及びそのロードマップの情報提供
(2)AI RMF プレイブック
(3)用語解説
②イベントの開催
(1)ワークショップ
(2)AI客員研究員
③トレーニング(RMFとは何かの動画の提供)

AIRCは、NISTのリソースにアクセスでき、基礎となる文書(PDF)は、AIリスク管理フレームワーク(RMF)1.0。これは、AIシステムのライフサイクル全体でリスクを管理するための原則と実践方法が書かれている。また、AIRCは、「AI Risk Management Framework」として、フレームワークの4つの主要な機能であるGovern、Map、Measure、Manageの手順を企業側に案内している。

https://airc.nist.gov/AI_RMF_Knowledge_Base

また、AI RMFに加えて、AIRCは現在、RMFとAIソリューションの実装を支援するプレイブック(*)、公私の協力と支援を伴うNISTの計画イニシアチブのロードマップ(*2)、用語集と定義のガイド、およびNISTのAIアジェンダに関連するイベントと機会のセクションを提供している。

(*)プレイブックは、AIリスクマネジメントフレームワーク(AI RMF)コア(AI RMF 1.0の表1~表4)に示された成果を達成するための提案行動を提供する。提案は、AI RMFの4つの機能(ガバナンス、マップ、測定、管理)の各サブカテゴリーに沿ったものである。プレイブックは、チェックリストでもなければ、全体として従うべきステップのセットでもない。プレイブックの提案は任意である。組織は、業界のユースケースや関心に当てはまる提案をいくつでも借りて、この情報を活用することができる。

(*2)AI RMFを推進するための主要な活動は、AI RMFロードマップに記載されている。これらの活動は、利用可能なリソースに応じて、各組織が独自に、あるいはNISTと協力して実施することができる。ロードマップに記載された作業は、信頼できる責任あるAIを追求するための知識、実践、ガイダンスのギャップを埋めることを目的としている。

NIST AIRC - AI RMF Core

以上である。この動きは引き続き追っていく。


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