カミングアウト望んでる？

カミングアウトとは、自分の存在や違和感について誰かに打ち明けるということ。身の回りの環境をガラッと変えてしまうこともあるし、打ち明けるには勇気と覚悟が必要な人も多いと思う。

心構え

端的に言うと、

カミングアウトが「立派」ではないし、生きやすくなるとは限らない。

相手の選び方も大事だ。親だから理解してくれるとも限らない。
親友だったあの子も、偏見の目で見てくる可能性もある。

本当にあった話
トランスの友人は学生の時に親にカミングアウトしたあとに国内で治療を受けていたにも関わらず、強制的に海外に転校させられて一家と親戚の監視の下で生活を強いられている子がいる。オペをするところまできたのに！

それでもあなたはカミングアウトしたい？

もっと打ち明けやすい世の中になればいいのにって思った人もいると思う。
でも人間は誰しもが打ち明けられないものを抱えていて、必ずしも打ち明けられることが明るい未来につながるとは限らないということ。

カミングアウトをしようと思っている人は今一度なんのためにするのか、
考えてみてほしい。

■準備

カミングアウトする前に、改めて自分の存在や違和感について整理する。
なんとなあくチェックリストを書いとくね。

１．説明ができる範囲、できない範囲。
「Ｘとの付き合い方～もし自分をＸだと思ったら～」に当てはめてもいい。
自分がどの程度自分自身を把握しているかをチェックしてみる。
説明ができない範囲があっても焦らなくていい。聞かれたら今はまだわからないと答えればいい。
大事なのは自分自身が把握している範囲を知ること。

例
◆説明できる範囲
・体と心の性別に違和感がある。
・性自認に合うファッションがある。
◆説明できない範囲
・好きになる対象が定まっていない。
・体と心に違和感があるけど、どこに位置するかはわからない。

２．三つの性別に当てはめて整理してみる。
心、体、好きになる性別の三つを書き出してみる。
はっきりしないところは感覚や消去法で書き出してみる。

例
◆心男性でも女性でもない。（消去法）
◆体男体、女体、中間体、その他身体的特徴
◆好きになる対象わからないけどなんとなく、○性/もしくはその他特徴

３．伝えたいことを抜粋してみる。
１と２で洗い出したことすべてを伝える必要はないから、何が一番伝えたいか整理してみる。優先順位つけてみてもいい。

例
①体と心が一致していないこと。
②好きになる性別が男性と女性
③○○

４．基本的な扱い方を肉付けする。
説明書がなかったら使い方はわからないよね！
いきなり伝えられても相手はびっくりしてしまうので、ただ伝えたかったとかでない限り、自分をどう扱ってほしいか伝えておくとより親切。

例
①三人称は彼/彼女/その他を使ってほしい。
②短髪/長髪/その他にしたい。
③特定のファッションが性自認に合う
④一人称は「○○」

５．用語で埋めないこと。
用語は共通理解のある人が使うもので、詳しく知らない人にとっては用語と概念を紐づけて理解するのに時間がかかってしまう。
また、偏見を持っている人はその用語に対してマイナスイメージを持っていることもあるので、なるべく自分の伝えたいことを説明することを優先したほうがいいかも。

例
自分はレズビアン×
自分は女性が好き○

■伝える

未だに初めてカミングアウトした時に心臓がバクバクだったのを覚えてる。
カミングアウトのアプローチの仕方もいくつかあると思うから書いてみる。
どうカミングアウトするも自由だし、重要なことを伝えることになるので、勇気も覚悟も必要だけど参考になれば。

◆ちょっと話あるんだけどいい？
向かいに座ってもらって、しーんとした空気の中伝えていく感じ。基本的にこっちが口を開くまでは重い空気が流れるので勇気いる。

◆実はさ、自分って～なんだよね。
伝えたいことがそんなに多くない時や特定の扱い方をしてほしい時はさらっと切り出せるからこっちの方が気楽。大抵相手が予期してなかったりするから、聞き返されることもあるけど、一回言えたからもう大丈夫。

◆知ってたと思うんだけど～。
知ってても知らなくても関係ない、もう当たり前の前提で行く。「えっ？」って言われたら「えっ？知らなかったの？」ぐらいの勢いで返す。

◆こういうファッションが性自認に合うんだよね。
服とか髪型について言及されたときに使えるかなぁ。性自認だけで察してくれる人もいれば、「何それ？」って聞いてくる人もいるかも。伝えたいこと最小限を自分の見た目と合わせて説明できる。

■伝えたら

伝えたあとの反応が一番気になるところだよね。
怒ったり、ひかれたり、ちょっと大げさな驚き方だったり、流されたり。

新しい関係のスタート
伝えたらここからが新しい関係のスタート。
基本的に相手の理解を超えていると思った方がいい。
たった一回説明しただけで、わかってないじゃんって諦めちゃうのはもったいないから、もし自分の感覚と違うことを言ってたら辛抱強く訂正してあげて。

否定や受け入れてくれない人
最初は否定する人も中にはいるんだけど、そういう人には時間と距離をおいてみる。
理解できない人も世の中にはいるということ、新しい価値観はあくまでも新しいというだけで、正しいわけではないということを念頭におく。
それでも伝えることが難しかったら、せめてどう扱ってほしいかだけ伝えておくのも手。

■伝えられないなと思ったら

それでもいいと、自分を受け入れてあげる。
僕の両親はセクシャルマイノリティを「不自然なこと」だと思っていて、ましてや男女でもない性別であることが到底理解、納得できるわけがなかった。
でもある日僕は両親に恋人がいることがバレて、説明がつかなかったからカミングアウトも一緒にすることにした。
案の定、受け入れてもらうことはできなかったけど、別の人間だから価値観が合わなくても仕方がない。いばらの道を選んだのは自分だ。

無理はしないこと。自分を大切にすること。

れいれい