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【まとめ】経済アナリストと考える、新型コロナ禍のHR勉強会

こんにちは!レイド株式会社の高木です。
人材ビジネスを展開する弊社では、HRに関する学びを深め共有する場として、今年から勉強会やセミナーを開催しています。

2020年6月に「経済アナリストと考える、新型コロナ禍のHR勉強会」と題し、経済アナリストであり複数のベンチャー企業にてCOOやCFOとしても活躍する株式会社マネネCEOの森永さんをお招きして勉強会を実施しました。こちらのnoteでは、コンテンツのご紹介や学びの共有をしていきます。

「今後の変化を見据えて先手を打っておきたい、より戦略的に動いていきたい」と考えている方も多くいらっしゃると思います。調査・分析に基づいて、経済・業界・企業の動向や将来を予想し評価するアナリストは、コロナ禍の状況をどのようにとらえているのでしょうか。

経済アナリストの持っている視座・視野・視点を借りて経済の動きを解釈することは、社会の動きをとらえる目を養う、戦略的に動いていくための基礎力をつけることにつながりそうです。

◆講師プロフィール

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森永 康平
株式会社マネネCEO / 経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。​著書に『MMTが日本を救う』(宝島社新書)や『親子ゼニ問答』(角川新書)がある。日本証券アナリスト協会検定会員。Twitterは@KoheiMorinaga

◆リーマンショックとコロナの違い

まずは、景気動向の把握に用いられるさまざまな経済統計のデータを基に、コロナ禍の経済状況を把握していきました。そのうちの一部を抜粋してご紹介していきます。

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「景気動向指数」の推移をみてみると、消費増税の決定があった2018年10月から既にダウントレンドに入っていたようです。

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企業の景況感を表す「業況判断指数」をみても、企業の経営者たちが景気の現状および先行きをネガティブにとらえていることがわかります。

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一般的に景気変動に敏感なのは製造業で、サービス業は影響を受けづらいといわれていますが、コロナ禍ではサービス業も大きく影響を受けていることが読みとれます。投資銀行の経営破綻から信用収縮がおこり、数ヶ月の時間をかけて他業種へ影響がひろがったリーマンショックとは異なり、コロナ禍では初期の段階で実体経済へ影響がでているようです。

景気の悪化は今後も続きそうですが、リーマンショックと比べて実体経済への波及の仕方が異なるコロナ禍。労働市場ヘはどのような影響がでているのでしょうか。

◆労働市場への影響

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バブル期と同等の水準だった2%台の失業率は、2017年5月以来の高水準にまで上昇しています。

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雇用形態ごとの雇用者数の推移をみてみると、現時点での影響は非正規雇用に集中しているようです。

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4月に休業状態となった内訳からは、非正規雇用の中でもアルバイトの雇用形態が特に厳しい状態におかれていることがわかります。ここからも実体経済への影響が大きいことがみてとれるでしょう。

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ただし所定外労働時間の推移をみてみると、残業代を支給されていた正規雇用の方々への影響も大きいであろうことが予測されます。

気になる夏期のボーナスに関しては、3月末までの業績を基に支給額を決めるケースが大半のため、被害が甚大な一部の業種を除いて、大きな影響はなさそう、という見立てがあるようです。

年末賞与や冬のボーナスに影響が出てくることを踏まえると、求職活動への影響も例年以上にありそうですし、採用活動を積極化する時期をずらすだけで採用コストは大きく変わることでしょう。

◆データから事実を把握し、活用する力を身につけていくために

「景気後退はまだまだ続きそう」「バブル期と同等の水準だった失業率が急上昇した」これまでにあげてきたものは、一次情報にあたり推移を追ってさえいれば誰しもが行き着く事実であるともいえます。その先の解釈を基に戦略を立てる、行動に移すことができるかどうかが、コロナ禍でも生き残れるかの分かれ目になることでしょう。

では、事実を把握するため、事実を解釈して実務面で活かしていくためにはどんなことが必要なのでしょうか。HR担当者も身につけるべきだ、と森永さんが話す金融知識・能力にヒントがあるように思います。

森永さんがあげたものは下記の4つです。

1:BS/PLを読める能力
2:簿記3級程度の知識
3:上場企業の決算説明会資料や短信を読める能力
4:マクロ経済の知識(新聞に書いてあることが理解できる)

BS/PLを読める、簿記の知識がある=定量的なデータを基に会社の現状を把握できる、というのはデータが語る事実にたどり着くための大前提の能力といえるでしょう。推移を追っていけば、今後を見立てることもできるはずです。

それらの事実を解釈し戦略や行動としてまとめたものが、決算説明会資料や短信に書かれているといえます。解釈に王道はあれど、唯一の正解はありません。決算説明会資料や短信を読みながら、解釈の訓練を繰り返していけば、社会の動きを読み解き、戦略的に動いていくための力が養われていくのだろうと思いました。

とはいえ、経済統計の一次情報にあたるのはハードルが高いという方は、まず森永さん(@KoheiMorinaga)をはじめとした関連アカウントのフォローからスタートしてみるのもアリかと思います。

人材業界のデータに関しては「HRog」や各社求人媒体の運営するメディアにもまとめられていますので、まずは関連情報に触れることから一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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弊社では今後も、HRに関する学びを深め共有する場として勉強会やセミナーを開催していきますので、ご興味とご都合が合う方はぜひご参加よろしくお願いします。

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