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記憶の欠片

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それは、過ぎ去りし日々の欠片
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#親戚

遠き墓標

遠き墓標

 警察というのは疑うのが仕事である。常々、彼は言うのだった。
「警察がなんだ。馬鹿警察の言うことは聞くな。」
馬鹿警察とは全く的を射ていると思う。

 彼女が去って真っ先に後ろ指を指されるのは彼だった。
「愛情が足りなかった。」
「かわいい姪を大事にしなかった。」
親戚というものは、そういうものなのだろう。被害者に徹している方が都合がいい。そうして彼の兄までもが弟に疑念を持ったとき、彼は自身の家族

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