愛がなんだ

自分は人のことをすぐ好きになる。恋愛に飢えているとも言えるし、他者に依存しているとも言える。

この映画は基本的に人が人に依存して生きていることを描いているように見える。主人公である女性は、友人の友人の結婚式で出会った男性に恋をしている。金曜日の夜、電話がかかってくるや否やその時やっていたことを放り投げて彼の元へ向かっていく。きっとそれが大事な仕事であろうと、友人との時間であろうと彼女は向かっていく。実際彼女は彼の影響で仕事をやめた。しかし、当の男性は彼女の方に振り向くことはない。彼が好きなのは彼女とは正反対な女性。一見ガサツで人前でも堂々とタバコを吸う女性。

あるエンタメを貪るyoutuberは恋愛を自分に持ってないものを相手に求める感情だと表現した。実際納得できる部分は大きい。主人公の女性は改めて考えてみると、空虚にも感じられる人間である。自分の仕事に誇りはないし、趣味と見られるようなものもない。だから彼に依存するのだろう。

しかし映画の最後の最後で、彼女はそっと言い残す。私はいまだに田中守ではない。この言葉の意味をすぐに理解できるほど、私は文学に精通していない。この言葉はきっとさまざまな解釈をすることができるであろう。私個人の解釈は、彼女が求めていたものは田中守であって田中守ではない。彼女は田中守が持つもの、彼のように愛されることを望んだのであろう。これは愛なのだろうか、恋なのだろうか。私にいまだかつて芽生えることのない、〇〇になりたいという感情なのか、欲望なのか名前のつけ難いもの。

自分は今片思いをしている。一度は振られてしまったが、なかなかその感情をなかったことにはできない。この映画では、誰かを好きになるということは説明できる感情であったり、何か理由があるものではないと言っていた。実際そうだと思う。もちろんどこが好きなのか説明はできるものの、最終的に辿り着くものは本能であり直感なのだ。しかし、私が今好きな女性はある学問分野に熱を注いでいて、自分になくて自分が欲しい要素を持っているのは確かであり、そこに惹かれている自分もいる。もしかしたら自分は彼女が好きなのであり、さらに彼女になりたいのだろうか、、、

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