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「voice」のカタチ
櫛の歯が折れるように
先週、チームのメンバーがふたり、相次いで会社を退職すると聞いた。そんなに大きなチームではない中で、そこそこ異常な状況だと思う。
ひとりは、入社4年目の後輩。(着任後7ヶ月)
営業を希望して異動してきたのだが、希望に反して開発のチームにアサインされて、悩んでいた。開発には興味を持てず、チーム異動を組織長に何度も交渉し続けるも、受け入れて貰えず、絶望し、転職を決断。
ひとりは、直属の上司。(着任後5ヶ月)
ずっと、うちの会社の仕事にフィットしない感覚を感じていたそう。この夏に、うちのチームにアサインされて、充分なサポートや時間を与えられないまま、組織長からは無理を言われ続けたそう。元々感じていた、会社への違和感というか、嫌な部分が煎じ詰められたような状況に、うちのチームにて直面、心身に不調をきたす。コレを続けることは困難と考え、転職を決断。
私(着任後32ヶ月)
私は私で、相変わらず色々と無茶難題をふっかけられ続ける日々。後輩の相談には、極力、時間を割いたつもりだったが、総じて、自分のことで精一杯で二人の力にはなれず仕舞いだった。
かくして、「人を大切に出来ない組織」は、櫛の歯が折れるように、駄目になって行く。過去、色んなプロジェクトで、折々、見て来た光景だが、それをまた、目の当たりにしている。
ブルシットジョブ
ちなみに、職を辞するその上司は、上位マネジメント層への報告資料の作成みたいものに費やす負荷の高さ(急に資料作成を依頼され、圧をかけられ、深夜土日勤務も強いられる)、とそれが生み出す「価値」のアンバランスさをすごく嘆いていた。報告資料そのものは、大概、現場の実情が加味されない水物だし、絵餅だ。
そして、確かに、うちの会社、組織は、その手の無駄な報告や手続きが多過ぎる気がする。そもそも、それはなんのためにやっているのか、やっている本人たちも価値を見い出せないモノも多い。誰の幸せにつながる作業なのか全く分からないモノも多い。
でも、やらないといけないことになっている。やらないと、次年度の予算を獲得できなかったり、社外への支払いや請求が滞ったり事案もある。
もうちと、簡潔にできれば良いけど、謎に重厚長大な、手続き。
やめられないとまらない。
こういう、まるで呪いのようなタスクにがんじがらめで、それらの呪いを解こうとする自浄作用も機能する様子はない。
「ブルシットジョブ」と言う言葉が浮かぶ。
そういう呪われたブルシットな積み荷を満載し、ずぶずぶと沈み行く泥船に、私は今、乗っているのかもしれない。
voice or exit
この辺の話をLINEで友人(※)に愚痴ったら、
「たかが仕事だ。voice or exitだよ。」
ーと言う言葉を貰った。
「voice or exit」
声を挙げるか、脱出するか。
ググると。アルバート・O・ハーシュマンと言うドイツの経済学者が1970年に記した『Exit, Voice and Loyalty』という書物が大元のよう。
私が、ここのところずっと考えているのは「voice」のあり方。
一般企業の職場での、職場環境の改善として、どうしたら対話が機能するか。支配・権威思考が強く、風通しの悪い組織において「対話」が成立するのか。
今のところ、全く、イメージがわかない。
そもそも、私の「対話」能力がヨチヨチ歩き状態なのである。
私は、対話をしようとしている相手に対して、既に、「支配志向・権力志向の強く、職場の風通しの悪い組織」ーという、「評価」をしてしまっている。この辺りからして、そもそも対話の戸口に立つ前に、躓いてる気がする。
こんな塩梅で、心許ない手探りだが、「voice」のカタチを、諦めずに模索を続けようと思う。
泥舟からの「exit」も並行して模索つつ。
※)ちなみに、「voice or exit」を紹介してくれた友人も、この春に転職をした先の職場で、問題プロジェクトの陣頭指揮を取り、散々な目めに合っている。春先には10人以上いたチームがいまや半数以上が、離職やメンタル不調で離脱しているという惨憺たる状況。
彼がその酷い状況でも、踏ん張り続けていられるのは、彼自身の人間としての底力と能力によるものなのだと思う。
実際、上位マネジメントに対してその状況海瀬員の異議を申し立てたそうで、その行動力と勇気も素晴らしい。
だが、結局、状況は大きく好転はしていないらしく、「声を上げても、人は変わらない」「人の使い方の駄目な例を目の当たりにしつつて学びつつ、逃げる準備をしている」とのこと。
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