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Cahier 2020.12.23

今日は久々の出社日でした。と言っても、人の多い社屋は窮屈だから、さっさと用事を済ませて、会社から歩いて10分のところにある秘密の書斎で作業をするのが最近お気に入りのスタイルです。

この秘密の書斎は学部時代の母校の向かいにある古い建物の一室で、窓に面した席からは母校を出入りする遠い後輩たちの姿がちらほら。最近は授業もリモートなのか、人の出入りは少ないようだけど。

ランチタイムは、以前から気になっていた東京焼き麺スタンドで「スーパー焼きそば」をささっと食べて、食後には「さぼうる」でコーヒーを一杯。

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ここの「スーパー焼きそば」、焼きそばにはこうあってほしい、という理想を全て叶えた夢のような一皿です。特に具と麺が分かれていることが素晴らしい。麺・具材ひとつひとつ、素材から調理法まで全てこだわり抜かれているのが伝わってきます。カレーか中華か南海か、その三択だった(っていうのは大げさだけど)この街のランチ事情に「焼きそば」という新たな選択肢ができたのは朗報。

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なんてことのない、ごくありふれたサラリーマンの日常の一コマなのですが、とても穏やかで満ち足りた気持ちになって、午後も鬼の形相で仕事に集中することができました。

上京して一番最初に知って好きになって、学業もバイトも就職もこの街でして、恋愛だけは色んな場所でしたけれど(笑)、約10年ものあいだこの街はわたしの人生の中心地でした。その後、職場が変わっても週末にふらりと訪れては古本を買ったりコーヒーを飲んだり、友達とおしゃべりに興じたり、今もこうして本来の職場からわざわざ足を延ばしてこの街へ来ている。

移り変わりの激しい東京の中心にあって、変わらない一面を頑なに保ち続けている街。この街の人たちは変わらないでいるために、膨大な努力をしているんだと思います。それは変化を厭うからではなく、変わらないでいるからこそ、受け入れられる変化があることを知っているから。書物で言えば古典でしょうか。一冊の古びた本や一杯のコーヒーを通じて、学問と文化芸術を愛し、営みとしてきた先人たちの息遣いを現代に伝え、ちっぽけな若輩者にひとつのたしかな体験として与えてくれる、懐深い街。そして、何かを与えられるたび、自分の未熟さを思い知らされる厳しい街。この街にいると、”知ったつもり”になっていることの多さに、いつも気が遠くなる思いがします。

いつの間にか、わたしもこの街で小さな節を刻んでいたんだなぁとしみじみ嬉しくなった、なんていうことのない午後のひとときでした。

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