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潜入、禁断の胡乱マーケット

 夜の多摩リバー河川敷で、色とりどりの屋台にゴザ敷の露店が雑然と軒を連ねている。
 天狗面の男が得体のしれない免罪符を売りつけ、麻の買い物袋に『働いたら負け』のエンシェントワードを描いた物を覆面にした者が、胡論入門テキストと書かれた冊子を店先に並べていた。
 かと思えば、虚無僧笠に襤褸袈裟の正体のわからぬ僧が「インタァネットをやめよ、インタァネットをやめよ」と何処に向けるとも知れぬままにネンブツを唱えている。
 ここは多摩リバー河川敷を会場にした闇の胡乱マーケット。一般市場にはとても流通させることが出来ないアンダーグラウンド胡乱物品を融通する為の闇市だ。
 中央広場では今もアマチュア力士による非合法賭け相撲バトルが行われており、それを来場者達がくじ券を握りしめヤジと共に応援している。見渡せば、一斗缶に薪を突っ込んで焚火し串モチヤッコを炙る連中。さらには炊き出しと称して醤油芋煮、キャッサバ芋煮、バイオサツマイモ芋煮などといった複数種の芋煮汁をふるまっている様子もあった。
「む……?貴様、普通ヒューマンだな?」
 角帽にバイザーを身に着けた異端の胡乱審議官が、目の前の屋台店主を糾弾すればたちまち忍び装束の男たちが胡散臭いスーツの店主をつるし上げる。
「アイエエエエエ!」
「胡乱マーケットではエセ科学物品を売りつける事は硬く禁じられている……ひったてえい!」
「オタスケー!オタスケー!」
 暴れて抵抗するも忍び装束の男たちの拘束はびくともしない。そのまま、店主の男は一際大きな一斗缶にハリツケにされ、首に『この者、胡乱マーケットでエセ科学物品を販売しようとした咎によりさらし者とす』の掛札をかけられて見せしめとされた。
「ここが……噂の胡乱マーケット……」
「そわそわするな、部外者と認識されたら芋煮の具になるぞ」
「わかってる。『ネクロノウロン』はなんとしてでも回収しないと」

元ネタはこちらです(許可受領済)

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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