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イドラデモン・アニヒレイト -27- #ppslgr

「そうりゃ!」

板張りの廊下に燃え盛る炎を、J・Qが振るった氷の一撃がことごとく凍り付かせ道を切り開く!邸内は外に出られる箇所は全て板戸で塞がれ、塞がれた箇所は真っ赤に燃えあがっては俺達を熱く照らす!

「思ったより広いし複雑だな……!」
「でも見捨てないんでしょう?」
「当然じゃ!」

広い武家屋敷と思しき邸内を、ふすまを切り裂き、板戸をぶち抜いて次々と探し回るが問題の老婦人の姿は何処にも見当たらない。炎上した建材が落下する前に、天井と廊下を凍り付かせて時間を稼ぐが、館はまるで乾ききった枯れ枝並みの速さで燃えていく。

「そっちは?」
「おらん!」
「こっちもダメ!」

間に合わないか、との考えが脳裏をよぎった時、新たに現れたのは予想外の人物だった。

「アンタらのお探しはこいつかい?」

声がした方向のふすまを切り倒して確認すれば、そこに居たのは喪服の老婆だった。老婆が老婦人を抱きかかえていたのだ。

「なんじゃ!先に行ったんじゃなかったんかい」
「グダグダ話せる状況かっつの!クリスマスのターキーになりたくなきゃ脱出だよ!」
「なら俺に任せろ!」

要救助者を見つければ後はこんな鉄火場でだらつく理由はない。
すぐさまカレイドバレルを構えると、脳裏に何もかも撃ち抜く魔弾を描くと同時に引き金を引く。解き放たれた弾丸の一撃は、燃え盛る邸宅の壁を悉く丸く切り取る様にぶち抜く!円のサイズは俺達全員が余裕で通れる程のデカさだ。

「さっさと出るぞ!炎上死は織田信長の持ち芸だからな!」

―――――

「ほう、ほう、ほう。ま、そりゃそうですよね。ほら起きなさい、あなたの奥方は無事ですよ」
「ガフッ」

燃え盛る円をサーカスのライオンめいて飛び込み潜り抜け、炎上する館から脱した俺達を三角状の袋で顔を隠した連中がたいまつを掲げ何重にも取り囲む。そして真正面には冴えない感じにグレーの白髪の老人を蹴り上げる神父めいた男。

神父めいた、とは表現したもののその黒髪をオールバックになでつけ、いやらしい笑みを浮かべ紺の外套をまとった男は聖職者からほど遠い印象だ。同職扱いされた日には、全国の聖職者が大挙して殴りつけに来かねない。

「その様子だと、俺達を排除するのを諦めてはいないようだな」
「もちろんですとも!見るがいいこのスキの数を!」

不審者めいて外套を開帳した神父野郎は、その内側にじゃらじゃらと数えきれない程のハートチップをぶら下げた様を見せびらかす。実に悪趣味、と断じて良いだろう。

「その数!1000!二桁が精々のあなた達など敵ではありません!」
「で、ドネートはもらえたか」

俺の切り返しに、ビシっと神父の顔が硬直する。
スキからドネート、すなわち現金払いのハードルはとてつもなく高い。人類にとって身銭を切る、というのはガイア高地よりも高い心理障壁だ。ましてはお付き合いでつけ合ってるスキでは、現金を払う義理などあったものではない。もっとも、カネが必ずしも創作のゴールではないのは明言しておこう、創作の目的は人それぞれだからだ。

【イドラデモン・アニヒレイト -27-:終わり:その-28-に続く

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