Happy！Book！Making！ -63- #ppslgr
まず動いたのは黒銀の竜機と金獅子の戦士！両者は鏡面装甲ビッグサイト武者の両サイドへ回り込むと、息の合ったコンビネーションで己が得物を振るう！だがビッグサイト武者は右方の銃槍剣の一撃は大剣で受け止め、左方の金の剣戟はおもむろに指先だけで白刃取り！
「ぐぬっ！」
「父上……ッ！」
「どうした！よもや威勢が良いのは口だけではなかろうな！」
たかが金持ちのオッサンかと思いきやさにあらず。決して鈍くはない二人の踏み込みを僅か一手で止めてみせるとは、この人物は油断ならない相手と見える。弾かれた銃槍剣を翻して再度袈裟斬りに振るうも、その一撃もまた大剣とぶつかりあい熱く火花を散らす！
「セェイ！」
ビッグサイト武者は力強く反撃に移れば、まずは左方の法条の機体へミドルキックから胴を蹴り抜いて弾き飛ばし、続いて至近距離で得物を振るう竜機を大剣の峰で打ち払い間合いを開ける！そこから奴が距離を詰める相手は俺だ！大上段から鋼鉄の大剣を振り下ろす！
「ヌゥーッ！」
目にもとまらぬ速度で振るわれた大剣は、しかし宙を斬り下方の障壁から弾かれる！イクサはまるでネコ科猛獣が木の幹に飛び掛かり昇りあがるかの如く柔軟に大剣を受け止め蹴りあがれば、そこから身をひねる様に蹴りを繰り出しビッグサイト武者の兜を横薙ぎに蹴りはらう！機動兵器の大質量を伴った蹴撃に鏡武者は仰け反るも、頭部を刎ねるまでには至らない！
「ええいコシャクな！」
「回せる出力は限られているが、だからと言ってそう簡単にはやられん！」
蹴りの反動そのままに高速バク宙にてビッグサイト武者より間合いを取れば、改めて大太刀を青眼に構えなおす！隙を晒したビッグサイト武者に再び金獅子が挑みかかるが突き出した剣の切っ先は、態勢を立て直した相手が構えた大剣の峰を削り火花を散らす！それだけにとどまらず金と鏡の二者は互いの握る武器をつばぜり合いに持ち込んだ！
「父上！何故なのですか！？」
「何故か答えるのは儂に勝てたらと言ったぞ！」
機体のサイズ、得物の質量で勝るビッグサイト武者がその出力を重量を活かして強引につばぜり合いから金獅子を弾き払う！再び間合いをあけられた金獅子をビッグサイト武者は注視することなく、今度はイクサとアークデウスが放った振り下ろしを受け止める！
「クリエイターが危険因子になるなんて、どうかしてる！大多数の人は戦えすらしないのに！」
「大部分はそうだろう、だが現に貴様らはここに来た！そして儂を相手に戦っている！」
「それはアンタが無茶苦茶やったからだろうが！」
俺はイクサの背部推進器を吹かすとサルめいて前転宙がえり！回転の勢いのままに太刀を再度打ち下ろすが、限られた出力の一太刀は斬撃の瞬間に左腕の小手によって打ち払われ、軌道を逸らされる！崩れたバランスをベクトル制御で立て直して距離を取りつつ向き直る！残った竜機と武者が激しく石火を華と散らす！
「例え百人に一人、千人に一人であろうと脅威は脅威！災厄の芽は事前につみ取るべし！」
【Happy！Book！Making！ -63-：終わり：その-64-へ続く】
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