イドラデモン・アニヒレイト -57- #ppslgr
こっちの顔を見ずに投げ込まれたスキを、スリケン返しの要領で投げ返して、不埒なスキスパマーの顔に叩き返してやる。深々とスパマーの顔にめり込むスキチップ。Noteのメインストリートとかならまだしも、ここはいつものバー・メキシコである。スキ返しを行った程度で騒ぐ奴など、いもしない。
「ギャーッ!」
「せめて読んでからつけろ、読んでから!毎度毎度雑に投げつけやがってからに、わからんとでも思ってるのか!」
俺の一喝に、チャラい感じの訪問客はスパムる相手を見誤った、と言わんばかりに這々のていで逃げ去っていく。その背を見てクソデカため息を吐く俺。
バー・メキシコも、Note全体も、一時の様なボットに埋め尽くされんばかりの惨状こそ無くなったモノの、そこはそれ。まだまだ手動でスキをスパムる連中は、そこそこ残っているのだった。
やけになってCORONAをあおる俺の所に、J・Qが着座して苦笑しながら同様にCORONAを呑む。
「ボットの徘徊こそなくなったモノの、結局ああいうのは残るんじゃなぁ」
「現状、Noteはスキスパムがローリスク・ハイリターンの環境だからな。人間は環境に左右される生き物だし、ハイリスク・ローリターンにならんウチはまだまだ出るだろうよ」
「そういうもんかのう。ちゅーかおヌシは一体全体、どうやって見抜いとるんじゃ?」
今の奴、アカウントのスキ欄非公開じゃったろ、というJ・Qに対し、肩をすくめて種明かしをしてみせる。
「アカウントのスキ欄非公開にした所で、付けた先の作品側のスキ欄にはばっちり表示されるからな。ハッシュタグあたりから、俺の作品の前後に投稿された作品のスキ欄も、合わせて確認すればすぐわかるさ」
もっとも、スキ欄非公開の時点で大分黒いけどな、と付け足しておく。もちろん、他のSNSのイイネとかと一緒で自分の好みがフルオープン、なのは好ましくないと感じる場合もあるだろうが。
「ホホー、今度ワシも覗いてみるかの」
「我ながらいい趣味とは思ってないけどな」
関心しているJ・Q。こっちはこっちで、早々に二本目のCORONAを開ける。今日の分は書き上げたし、アルコールを入れても問題はない。そんな相変わらず人の来ない、創作の荒野めいたバー・メキシコに見知った顔が入ってきた。真姫だ。しかも迷わず俺達の所までやってくると、手にした冊子を突き出してきた。
「はい」
「ふむ」
「どれどれ――路線変えたんか、おヌシ」
「お婆ちゃんの体験談を、書きつづる事にしたの。結構脚色も入れてるけど、どうかな……?」
ざっと目を通した所、文体や描写はまだ研磨の余地があるものの、彼女の年頃からすれば、相当に真っ当な作品として書けていると言っていい。今回の話は、ちょっとした悪魔祓いだが、元ネタが元ネタなので中々エキサイティングな話だ。スキを付けて返してやる。
「磨ける余地はあるが、及第点だ。頑張ったな」
「ちぇ、満点じゃないのね」
「そう言うな、俺がちゃんと最後まで読んだだけでも相当上の方だぞ、と」
大半は冒頭とタイトルでハネられるからな、と補足する。三本目のCORONAを……と手を伸ばすのをやめて、水をかっ喰らう。チェイサーは悪酔い防止の為には重要だ。
【イドラデモン・アニヒレイト -57-:終わり:その-58-に続く】
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