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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -18- #ppslgr

「で、これからどうすんだ?」
「ルートとしては二つある。一つはこのツル玉を破壊して外から登るルートだ」

俺達のに続いて起き出してきたA・Kに状況を説明した後、今後どうするか打ち合わせを行う。幸いにもトウモロコシは出入り口をふさいだ時点で満足したかそれ以上の進攻は行ってきていない。

「そりゃ俺達全員で殴ればなんとかなるだろうけどヨ、結局外出た所でコーンに取り囲まれねえか」
「俺もそう想定している。だからもう一つのルートとして、この洞窟をこのまま進んで山の中腹に出る方を選択したい」
「ほうほう……ってそこまで調べてたの」

A・Kに頷いて見せるとスマホから洞窟の壁面を使ってホログラフィック映像を投影する。描き出されたのは2D描画された洞窟内部の構造だ。曲がりくねってはいるものの、基本的には一本道でそこまで複雑な構造をしている訳ではない。

「元々この洞窟は観光地の一つにも使われているくらい歩きやすい構造で、そのおかげもあって中の地形も事前に把握できている。岩山内部にコーンが興味がないのであればここを通り抜けた方が障害は少ないだろう」
「オーケーオーケー、コーンモンスターが押し寄せてこないってなら洞窟選ばない理由はないっしょ!いこうぜ!」

コーンの相手をしなくていいと知って途端に元気になった彼に、苦笑しつつも荷を背負いあげる。この洞窟を抜ければあの巨大覇王トウモロコシまでは目と鼻の先だ。

―――――

あっけなく洞窟を抜けて山の中腹に出た俺達の目に、久方ぶりの様な気さえする陽光が目に入る。もっとも暗雲が垂れ込めていれば日の光はごくごく僅かもいい所だったが。

「俺達の機体は、無事だな」

森に入る直前に事前に物質転換を行って待機させてあったソウルアバター二機は、今の時点では侵食してきた木々に避けられるようにして森に取り囲まれている。やはりコーン達は有機物でなければさほど関心は持たない傾向が読み取れた。

そして後方を振り返ると、あの空撮映像で見た巨大トウモロコシがまるでバベルの塔の如き威容でそびえ立っている。可食部にあたる粒などはとても粒と形容できるものではなく、人間一世帯が悠々住めるほどの体積が見て取れた。

下方、地面との接触部に目を向けるとあたかも血脈の様にツタが大地に向かって張り巡らされ、樹海の内部へと接続されている。この特徴一つ取ってもこの世界に本来存在するトウモロコシとは似て非なる植物だ。

そこまで観察した時、巨大トウモロコシの接地部に三角の切れ込みめいた空間が見て取れることに気づいた。だが俺の関心を引いたのはそこに人影を見出したからだ。

「どうした?」
「人がいる」
「オイオイ、マジかよ。俺達だって苦労したってのに先客か?」

人影に視線を集中させ、特徴をわずかでも読み取ろうとする。 服装は樹海の進行に向いた手足を覆う作業着風の恰好に、癖のあるショートのブロンド。あの服装は先に遺体で見つかった調査隊の服装の物と同様だ。

だが、調査隊の一員らしき人物は俺達の姿を認めるとあろうことか巨大トウモロコシの内部へと駆け戻っていく。

「行っちまった……」
「ああ、これでいきなりあのトウモロコシに攻撃を仕掛けるという訳にもいかなくなったな」

あの振舞を見るに、正気ではないのは確かだ。だが救助対象の存在を無視しての破壊を行う程非情と言う訳でもない。

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -18-終わり:その-19-へ続く

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