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夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -47- #ppslgr

物理転換速度で勝ったこちら三機、イクサ・プロウラ、ソロモン、そしてシャンティカの遥か彼方に徐々に敵対者の兵器が構築されていく。

雲を突き抜ける高さのその巨大兵器は、端的に言えば大地に立てたけん玉の左右の受け皿の部分に円柱型の腕を三対六本浮かべた形状。
放射状に伸ばされた腕の掌にはそれぞれ青を除く七色の球体が浮かべられており、青はというと、けん玉の玉、それその物がそうだ。

巨大けん玉が浮かべる七つの球体はそれぞれ惑星、世界を模しており中央の青は美しい地球の青と白のコントラストをまとっている。

「待たせたな、M・K。私の『真理の焼却者』と君の魔術王、どちらが存続すべきか答えを出そうじゃないか」
「つくづく独りが好きなんだね、君は。ではその度し難い拘りは僕が否定しよう」

因縁ある二人の最後の言葉が終わった段階で、また世界の様相が作り変えられる。『真理の焼却者』とやらが突き立つ大地より、津波が押し寄せるように世界の全てが白化。距離感がわからなくなりそうな白染めの世界は、地平線の彼方まで続き空は一面の灰と黒の虚無に変わる。

「また変わった……!もう何が現実かわからなくなりそうよ!」
「見た目に惑わされないで、ソウルアバターなら完全な虚無の空間でも行動不能になる事はないから」
「その言葉、信じるわ!」

切り替えが早いのか、弓を構えるシャンティカに対し敵が動くのが一手先んじる。中段の二本の腕を前に掲げた焼却者は、その手に浮かべた紫と赤の星よりヘビの如く波打つ雷と紅蓮に燃え盛り襲い来る火球の雨を降らす。

「って、ちょ、こんなの避けられない……!」

動揺するシャンティカを尻目に、俺はイクサ・プロウラの機体各部にある推進器を噴かせば蒼い流星の如く紫と紅の脅威の中に突貫する!

「死にに来たのかね?」
「この程度では死なんさ!」

UFOめいた幾何学的直角ターン軌道で光の軌跡を残しながら、時にいなし、時に打ち砕き、時には寸前ですれ違って焼却者とやらに肉薄する。俺が行きすぎた脅威は、ソロモンの指鳴らし一つでもって彼らに着弾するより前に忽然と消滅した。

「やはりこの程度の小手調べでは、ムゥン!?」

イクサが握ったあの竜大剣を再現した一振りでもって、けん玉形状の中央塔をまずは切り裂かんとした一撃は、馬鹿げたサイズの円塔腕に遮られて深々と白い装甲をえぐり取る。

「暴勇だな、黒き戦士……!我らの間に割って入るか!」
「そうバカにしたものではないよ、何と言ってもその人は僕よりずっとおっかないからね」
「おうとも!」

一言でもって両者に応答すれば、黒橙の大剣を燃え上がらせて塔腕へとより深く突き立て、背部の翼型推進器を蒼く輝かせれば一太刀の元に浮かべていた紫の星ごと腕を両断!内部構造まで破壊された腕は崩壊しながら白化大地へと落下していく!

「ふっ、くく、ハハハハハハ!!そうか、そうだな!全くの足手まといなどここまで来られる訳がない!それに思い出したぞ、貴様はあの悪名高き『凶鳥』だな!」
「好きに呼べよ、どうでもいいからな!」
「ならば小手先のお遊びで対応したのは失礼に当たる、多少は本気であたるとしよう!」

体操選手が宙で身をひねるが如くバク宙から間合いを取った俺の前で、焼却者はその五本の腕を組み替え印を組む……!

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -47-:終わり:その-48-へ続く

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