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夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -45- #ppslgr

シャンティカが弓をつがえるのと、軽トラ戦車がその背部から連なったバンブーの様なミサイルランチャーをせり出させたのは同時だった。

だが、俺が対抗するよりも早くM・Kが手にしていたギミックロッドの一部をブーメランとして投げ放つ!赤黒の円盤めいて襲来した一投は、連なるミサイル発射筒をことごとく斬り落として橙色の爆発を巻き起こした。

「R・V!一旦ソイツには近づかないで!」
「わかった!」

俺が彼の指示に即応し、軽トラ戦車より距離を取ったのとシャンティカがつがえた矢を放ったのもまた、ほぼ同時であった。飛来する矢は、空気を切裂いて軽トラ戦車の背部に着弾!

「アバッ!アバババババババーッ!!!!」

矢が突き立つと同時に紫の電光が軽トラ戦車の全体を縦横無尽に駆け巡り、内装された電子機器に対して致命的なダメージを与える。それに伴って感電の衝撃に絶叫する軽トラ運転手。

魔法の矢がもたらした恐るべき電撃が収まると、俺は黒橙の大剣を携えてはうなだれる軽トラ戦車へと駆け付ける!だが俺の接近を前にして左腕ロケットランチャーを振りかぶりたたきつけんとする!。

「まだ、まだだーっ!」
「いいや、もう終わりだ!」

振り下ろされたロケットランチャーをすり抜け様に関節部から斬り落とすと、そのまま軽トラ戦車真正面へ位置取り、強力極まりない竜種大剣を大上段から渾身の力で振り下ろす!

コ、ン……という5メートルサイズの金属塊を斬ったとは思えない澄んだ音に続いて、バカリと軽トラ戦車が真っ二つに割れて左右に転倒した。両断された運転席の片側で信じられない、と言った表情とチリチリになった髪で呆然とする軽トラ運転手。

大剣を背の鞘に納めると、運転席から乗り手を襟首掴んで引っ張り出す。
床に転がった軽トラマンは流石にもう抵抗する意欲も失いうなだれていた。

「どうして……どうしてうまくいかないんだ、俺は……」
「どうしても何も、悪事の成果など身につかない物と相場が決まっている」

簡潔に何が悪かったのか教えてやると、携帯している名刺入れ……普段は出す必要がないが、その中にストックしている一枚を引き抜いて軽トラマンに投げ放ってやった。

「これ、は?」
「俺が信任しているカウンセラーの連絡先だ。お前は異世界にあこがれるよりも先に、現実の生き方を考え直しておけ」

善因善果、悪因悪果。人生がうまくいかないのは何処かで致命的な判断ミスを続けているが故の結果であることが多い。この男もここまで追い詰められたのは、自分の生まれ持った個性と人生の選択がマッチしていなかった点はあるだろうと俺は推測した。

手に持った名刺を凝視する軽トラマンをその場に置き去りにして、M・Kとシャンティカに合流するといよいよ本番、この施設の最奥につながる門の前へと立つ。

「やっとね……これで解決するかしら」
「どうだかな、ま、入らん事には始まらん」
「そうだね、行こうか」

案の定、開かない濃いグレーのゲートを引き抜いた大剣でもってバラバラに切り拓くと、三人そろって中へと進んでいく。

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -45-:終わり:その-46-へ続く

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