夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -10- #ppslgr
「よし、方針は決まったな。なら次は寝床の用意か」
「君の自宅でいいんじゃない?」
「勘弁してくれ、いくら何でも狭すぎる」
M・Kの言葉にヤケになって水をかっくらう。CORONAにしたいところだが、ミッションが待っている状況では酒を入れるのは控えておきたい。
しかして、樹木に寄り添う宿泊施設などパッと思い浮かぶわけでもない。かといって深く考えずによくあるホテルに連れていくのは彼女が落ち着かないだろう。
進展がないよりもスマホでさっさと候補を見つけて予約を取ってみるか考えあぐねていると、作業着に測定器を詰め込んだ姿のD・Aの事が視界に入った。彼はパルプスリンガーの中でも建築物に詳しい事に思い至った俺は、彼に手を振って呼びかける。
「ん?わざわざ僕を呼ぶなんてどうかしたのかいR・V」
「いや、妙な話なんだが……ツリーハウスの宿泊施設なんて、心当たりないか?」
俺の質問に対し、D・Aは水を得た魚めいてすぐさまスマホを手に取って検索すれば、一分もかからず検索結果をこっちに連携してくれる。
「いくつかパッと取り上げてみたけどどうだい?」
「さっすが、仕事が早い。しかしこれはかなり不安な造りだな……」
一枚目の画像に表示されたのは、ひょろひょろの木が枝分かれした中央に載せられたワンルームの小屋だ。童話などで子供たちが秘密基地として作る様な代物を大人向けにグレードアップしたような代物である。
「それでも、ちゃんと建築基準法満たしてるんだ」
「なんと……これでか」
驚嘆しながらスクロールしていくと、何個か外観的にも落ち着けそうなしっかりとした造りのツリーハウスが目に入る。その内の一つに予約を打診しておく。
「ありがとう、D・A。感謝する」
「なに、お安い御用さ。何よりこうして自分の得意分野を頼りにされるのは誇らしいしね」
ストレートに感謝の言葉を伝えると照れくさそうに笑うD・Aと俺の間に、極北マンモス殺戮鉄道めいた勢いでS・Rが戻ってきた。当然ながら、シャンティカも一緒な訳だが……
「どーよどーよ!いやーやっぱり素材がいい子はオシャレさせがいがあるね!」
「ボツ」
「エエエエエエエエッ!!!?」
S・Rについて戻ってきたシャンティカの恰好は、淡い水色のフリル増し増しのロリータドレスに、ヘッドフリルも加えたとてつもなくあざとい恰好であった。
フードから解放されてバーメキシコの光量控えめの電灯に照らされた彼女の髪は暗夜の下とは異なり翠がかった美しいブロンドとして輝き、瞳はネコの様に光を反射してか金色に光っている。
「あのさ、今晩も戦闘があるかもしれないのにこの恰好はないのでは?」
「……オウ、アタシとした事がデートさせる気しか考えてなかったぜ!」
どいつもこいつも一体全体どうしてこうもプレッシャーをかけてくるのやら……
【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -10-:終わり:その-11-へ続く】
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