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パルプスリンガー辛い鍋メント回・3・

「ほれほれほれ、皆さっさと取らんかい」
「J・Q、まるで店長さんみたいだよ~」
「鍋奉行……」
 おたまを駆使してどんどん仕上がった肉を引き上げていくJ・Qに、一同ありがたく肉をいただきつつ酒をラッパしていく。
 そこへ、仮面を着けた華やかな衣装の人物が舞い踊るように彼らの卓へと近寄ってきた。もちろん刺客などではなく、店内のサービスショーだ。
 変面と呼ばれる中国の伝統芸能であり、目にも止まらない速さで複数枚つけたお面を入れ替え表情を変えるというものである。
「変わる、変わる?」
 他の来店客よりも一段と食いつきがいいパルプスリンガー達に、演者も気を良くしたのかより卓に近寄って間近でその一瞬を見せようとする。
 瞬間、またたきするほどの時間で変面演者の仮面が茶の老人面から白の若者面へと変わった。その早業は動体視力にすぐれるパルプスリンガー達でも、あっと驚くほどの素早さである。
「オオーッ!」
「ブラボーッ!」
 一同、熱い拍手で演者を送り出す。
「いやーっ、凄いですね」
「話には聞いていたが本当の本当に一瞬だったな」
「そういえばニンジャスレイヤーにも変面モチーフのニンジャいたよね」
「まことか!?ワシまだその回読んどらんぞ」
「ほんとほんと、あの回は傑作だ」
「ほほーっ、そいつは楽しみじゃて」
「グワーッ!白菜!白菜ヤバいって!凶器!」
 あまりにも辛さの染み込んだ白菜に悶絶する一同。
 アルコール度数56%のパイチューという酒を分けて味わいつつも、見る間に具材が減ってきた。
「そろそろシメ入れとく?」
「だな、カンフー麺頼もうぜ」
「了解、カンフー麺2つ!」
 ハイ・テックタブレットからカンフー麺2つ注文すると、太く白い練小麦粉の塊を持った店員がまたも彼らの卓の前までやってくる。店員が手にした麺を、ベールを舞わせたようにヒュンヒュンと振るっていけば、見る間に麺が伸びていく。みるみるうちに伸びた麺は、丁寧に束ねられて真っ赤な麻辣鍋の中に投入。ぐつぐつと煮られていく。
「そろそろいいじゃろ」
「おう、いただこう」
 真っ赤に染まった麺をつまんで、椀に盛ってからすするとコレまた辛気が喉を直撃する。悶絶する面々。とはいれあれよあれよと言う間に消費されていき、なんだかんだ残らず食べきったのであった。
「さて、お会計を……」
「あ、現金忘れたから僕行っとく」
「任せたぞー」

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL