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イドラデモン・アニヒレイト -48- #ppslgr

孫の瞳が大きく見開かれ、起きた事態を受け入れられないかのように膝をつく。すぐさまJ・Qが飛び出すと、逡巡することなく袖口から銀の微細機械を展開し、G・Rの腹部に突き立てられた包丁の除去に取り掛かった。

「お婆ちゃん、どうして……」
「ハ、ハ――どうしてもなにも、こうでもしないとアンタ、目が覚めないだろう」
「処置中じゃ!黙っとれ!」
「良いから。話させなよ、これがこの子にとって最後かもしれないんだから」
「最後になんぞさせるものかよ!」

治療に集中するJ・Q。その身を床に横たえたG・Rは涙ぐむ孫の頭へと手を添えた。

「良いかい、何かを作って人様に見てもらおうってのはそりゃあ尊いもんさ。アンタはちゃんと作り上げたんだから、立派さ。もっとも、毎回カップルを泣き別れにするのは、アタシャどうかと思うがね」
「え……ちゃんと、全部読んでくれてたの?」
「当然だろう、孫の頑張った作品なんだから。今思えば、ちゃんと感想もすぐ伝えてやるべきだったけどねぇ」
「じゃあ、じゃあずっとスキをつけてくれてた非会員の人は……」
「アタシさ」

告げられた事実に、孫はかぶりを振って答える。既に血はJ・Qの措置により止まっており、傷跡もみるみるうちに塞がれていく。

「私、私そんなの知らなかった……!」
「言ってなかったんだから当然さ。ま……アンタが人様を手に掛ける前に止めてやれて良かったよ」
「ごめん――ごめんなさい……!」
「良いんだよ、コレに懲りたら助けを借りる相手は選ぶんだね。子供の悪さにつけ込むヤツなんてろくなもんじゃないんだから」

そこまで言い切ると、G・Rは深く長く息を吐く。既に治療は完了しており、J・Qが額に流れた冷や汗を拭った。

「ッハー……無茶しおる、急所は外れていたから良かったモノの、おヌシはワシがおらんかったらどうするつもりだったんじゃ」
「ハッハ、どっちみち老い先短いんだ。死んでも悔いはないさ」
「あるじゃろうが!バリバリに!孫の頑張ってるトコもっと見たらんかい!」
「クック、アンタに言われちゃしょうがないねぇ。大人しく言われたとおりにしようか」

事態を共に見守っていたO・Mに視線を移すと、彼女からもうなずきが返ってくる。合わせてスマホを取り出すと、即座にアプリケーション起動。
どこまでも白い虚ろな空間に、星々が銀河めいて渦を巻けばその渦中から一気に黒い巨人が飛び立ち姿を表す。

その姿は黒曜石の様に艶めく装甲で覆われ、背部には翼めいて光をたなびかせる推進機を備えている。腰には無骨な大太刀を差した黒い騎士、俺の愛機である「イクサ・プロウラ」だ。この空間は、ソウルアバターを動かすのに十分なスペースがある。

同時に、地平線の彼方より間欠泉の様にボットが吹き出し巨大な柱と化してそびえ立つ。一本だけでなく、複数のボット柱が噴出すると俺達のいる地点へと殺到!こちらを押しつぶさんと降り注ぐボットを、イクサの波動障壁がドーム状に展開し弾いていく!

【イドラデモン・アニヒレイト -48-:終わり:その-49-に続く

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