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夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -36- #ppslgr

ドクロの重装戦士が振るう長柄の戦斧が、鈍い音と共に奇怪な触腕を斬り落とし落下させる。汚泥に落着した触腕の切れ端もまた、湯気を立てて溶解していく様は悪夢めいた恐怖感があった。

なおも下部より追加の触腕を生じさせた古代兵器は、間近で暴威を振るうドゥマに対して追撃を加えんとその手を伸ばす。

「ムゥン!」

迫りくるパイプ触腕を力強く振るった斧で裂き、輪切りに斬り落とすが脅威の数はなお多い。徐々にドゥマの竜巻の様な斬撃で目減りする数よりもさらに多くのパイプが彼を取り囲もうとするが、俺とは別の支援によってインタラプトされた。

「させないわ!」

シャンティカは自身の機体を既に生身と遜色ない水準でとりまわすと、弓に多数つがえた矢を花火を打ち上げるが如く放ちドゥマへと迫るパイプ触腕を貫き破断させてゆく。

「かたじけない」
「どういたしまして!」

もちろん俺は俺で傍観していたわけではない。古代兵器の下方へ飛翔すれば居合抜刀でもって次々に邪魔っけな触腕を斬り落として数を削るものの、どうにも質量保存の法則を無視している勢いで追加のパイプがあふれ出してくる。対象療法ではダメだ。

「シャンティカ!」
「なによ!」
「直接このうっとおしいツボの中を射れないか!?」
「無理に決まってるじゃない!射線が通ってないわ!」

今度は俺を狙って追いすがってくる触腕の群れを推進器吹かし光の軌跡を伴って引き離せば、上方より鎖を今なお降りしきる錆雨の合間を縫って打ち下ろし触腕を縫い留める。

「生身じゃ不可能な無茶が利くのがソウルアバターだ、まっすぐ射るんじゃなくてこいつの中身に狙いを付けて撃ってみろ!後は機体が補助してくれる!」
「あーもうー!やるわよ!やればいいんでしょ!」

俺の助言に対し半ばヤケで複数の矢をつがえられるだけつがえると、シャンティカはまっすぐ逆さにしたタコつぼの様な古代兵器に対して輝く矢を放つ!放たれた矢はまるで猛禽類の如く飛翔すれば、するりとタコつぼ内部へと射込まれた。直後、複雑な構造であろう部分を攻撃された故か激震する古代兵器。

「……ウソ、こんなのありなの?」
「有りだ、便利だろう?」
「自分で使う分には良いけど、これ同士で戦いになったらちょっと怖いかも」

良くある話だ、という返しは無駄に彼女を怖がらせるとして飲み込むと、脅威であった触腕が打ち止めとなった事でバルダン兵による視線射撃が再開される。
紅い銃撃の火線が雨を吹き払って無数に古代兵器へと殺到しては少なくないダメージを与えているのが見て取れた。

「ようっし皆!押してるけど前に出過ぎんなよ!まだなんかありそうだかんな!」
『オウッ!!!』

戦場では冷静なのか、ガアムの慎重な指示に応えていつでも後退できる様備えながら各兵達は手持ちの火器を始めとする武装を駆使して攻撃を続ける。
だが、俺達が注意深く見守る中で古代兵器はその中央のくびれから扇風機の羽根めいたパーツを突き出すと高速で回転し始める!

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -36-:終わり:その-37-へ続く

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