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夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -40- #ppslgr

「事前に頼んだ通り、24時間経って俺達が戻らなかったらこの塔を破壊してくれ」
「うむ、承知した」

御影石の塔、その正面ゲートと思しき門の前に立った俺達を見下ろしながら、ドゥマが頷く。その背後にはガアムとクルカを始めとするバルダン兵達が、各々両手を挙げて俺達を激励してくれた。

「俺達は約束は守る、守るぜ!だがよ……ちゃんと生きて帰ってこいよな!」
「もちろんだ、こっちもほいほい死にたくはないからな」

表情を現す機能がないドクロ面にも関わらず、そろそろこちらにもガアムの表情がわかるような気がしてきた。クルカの方はというとシャンティカが気になるのか、姿勢こそ背を正している物の食い入るように円筒レンズを彼女に伸ばしている。

「あの、ジロジロ見られると居心地悪いですけど」
「む……異世界人は詳細な観察分析を受けるのは不快に感じると。これは失礼した」

単純に興味から出た行為だったらしい。まあ彼らに性別やそれにともなう快不快の概念はどうもなさそうではある、世界間の価値観の溝はそれ相応に存在するようだ。

「よし、行こう」

余り別れを惜しんではいられない、M・Kの妨害によって別世界に逃げ込めないうちに首謀者を抑える必要がある。俺達三人は踵を返すと塔の奥へと足を進めていった。

「筆頭、アイツらがちゃんと帰ってくるか賭けます?俺はもちろん帰ってくる方に」
「やめておけ、ガアム。この場に居る者で誰が彼らの未帰還に賭けるというのだ」
「ですよね、へへっ」

―――――

ギリギリ竜尾の大剣を振るえるスペースがある、グレーのセラミックで覆われた無機質な廊下。その長い廊下は何人もの曲面装甲型パワードスーツをまとった重装歩兵によって阻まれていた。

「むう!」

こちらの姿を認めた装甲歩兵達は迷わず手にしたアサルトライフルに寄る一斉射撃を開始。迫りくるライフル弾を、手にした大剣をかざしては振るいながら射線を塞いで跳弾させていく。弾かれ、火花を散らしながら壁面に着弾する弾丸。

「二人共、俺の後ろから出るんじゃないぞ」
「わかった!」
「ホント、君が居てくれてよかったよ」
「どういたしまして!」

そこまで広いとは言い難い大剣の刀身でもって、我ながら器用と思えるレベルで弾丸の嵐を捌きながら廊下を駆け抜ける。俺が歩兵へ達するより早く、竜素材のコンポジットボウで普段の何倍も速さと威力を増した矢が歩兵の肩を射抜いた。

「が、ああああ!」
「南無散!」

マガジンを撃ちきり、別のマガジンを装填しようとする歩兵達の隙は見逃さない。大振りに真横一文字に大剣を振るえば、研ぎ澄まされた竜の尾は壁面すらも豆腐の様に切裂いて歩兵達の銃をまとめて斬り飛ばし無力化する。

「クソッ!何なんだよお前ら!」
「それは俺のセリフだなぁ!」

予備の拳銃を取り出し抵抗せんとする目の前の歩兵に柄頭でもってみぞおちを突けば、さらに横の歩兵を回し蹴りでもって脇腹を撃ち抜く!手近な連中を俺が引き受けている間にも、続く矢の連撃が歩兵達の装甲を易々と射抜いていった。

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -40-:終わり:その-41-へ続く

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