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夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -9- #ppslgr

「ね、ね、その子何処から連れて来たんだい?」
「人聞きの悪い……まるで俺が人さらいみたいじゃないか。協力者だよ、協力者」

新たなる刺客、いやグリーンのツナギにタンクトップ、ホルスターには二挺の拳銃を下げたパルプスリンガー・レディであるS・R。彼女が二番手として未知の異邦人へと食いついてきた。

話題の対象になっている自覚があるのか、シャンティカの方は見知らぬ土地で縮こまって小さくなっている。無理もない、そもそも余り社交的な種族でもないようなのもあるが。

「ふうん?どっから来たかは知らないけど、その恰好余りにも目立っちゃうんじゃない」
「……そんなに変?私の服装」

シャンティカは立ち上がってS・Rへと向き合うと、自らの服装を披露する。電灯の明るさではより明快だが、彼女らの民族衣装は森の中に住むという特徴を良く現した、樹皮を加工しつぎはぎした代物である。当然ながら日本にそのような服を所有している者は稀有だろう。

「変て訳じゃないけど、ほら、珍しいじゃない?だからさ、アタシがアンタに合う服見繕ってあげるよ」
「えっ、ちょっ、何なの貴女!」

俺達のいずれかが抗議する間もなく、S・Rは強引にシャンティカの事をバー・メキシコの店内から連れ出していってしまった。取り残される男二人。

「いつもの事ながら押しが強いな彼女は」
「いいのかい?止めなくて」
「止めたらイイ笑顔のまま鉛玉撃ち込んでくるのが目に見えてる。シャンティカには悪いがこっちはこっちで話を進めよう」

肩をすくめて現状受け入れると、改めて当初の話題を再開する。

「改めて昨晩わかった事を説明してくれ」
「了解。昨日現地に足を運んで確信を得たんだけど、やっぱり遠隔で特定の地域の幻想と現実を入れ替えているんだ。残念ながらね。現地で操作してるなら話が早かったんだけど」
「何処のどいつかはさておきそこまでマヌケでもないって事だな。だがそうなると本拠地をどう突き止めるかだが……」

俺の懸念に対し、M・Kも頷く。無策で各地を回っても後手に回る上に、手がかりをつかめるかも怪しい。

「手は、あるよ」
「どんなだ?」
「シンプルに、三角測量的に複数の現場から、中心地を割り出せばいいんだ。昨晩にどの方向から量子干渉波が送られてきたか確認できたから、同じことを後一回繰り返せば交点から凡その答えは割り出せると思うよ」

意外とあっさりした回答に拍子抜けする。もっと俺の理解の及ばない方法とか語られるかもと身構えていたが、ちっともそんな事はなかった。

「フムン、そういえば次のターゲット地点はどうやって把握しているんだ?」
「本格的な虚実転換事象が発生する前に、前兆の様な量子の揺らぎが発生するんだ。お昼頃には既にね。もっとも非常に微弱な物だからどこから影響を受けてるかまではこの時点じゃわからない」

意外と不便でしょ、と笑って見せる彼だが、正直俺の頭では具体的な内容まではさっぱりわからない。彼の協力が無ければ今回の件の調査は早々にとん挫していただろう。

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -9-:終わり:その-10-へ続く

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