#逆噴射小説ライナーノーツ
ホテル203号、恐怖症
「お前が一番怖いものは何だ」
質問は右横から。焼けた声。俺を囲み腹に靴先をねじ込んだレンゲとかいう名前のヤクザ。頭部に衝撃。殴られたのだ、と遅れて知覚する。
「もう一度聞くぞ。五秒以内。右腿の肉、いくからな」
「レンゲさん、ガムテープ」
ああそうか、とレンゲは呟き、直後、唇に痛みが走った。
「……雀蜂です」
数時間ぶりに吸う新鮮な空気にむせこみながら私は答える。
「子供の頃、刺さ
「お前が一番怖いものは何だ」
質問は右横から。焼けた声。俺を囲み腹に靴先をねじ込んだレンゲとかいう名前のヤクザ。頭部に衝撃。殴られたのだ、と遅れて知覚する。
「もう一度聞くぞ。五秒以内。右腿の肉、いくからな」
「レンゲさん、ガムテープ」
ああそうか、とレンゲは呟き、直後、唇に痛みが走った。
「……雀蜂です」
数時間ぶりに吸う新鮮な空気にむせこみながら私は答える。
「子供の頃、刺さ