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オリジナル小説

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SF多めです。
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#オリジナル小説

きんいろの結晶【#あなたとピリカ(金)】

あなたとピリカ【金】紫乃さん作 ※前半……紫乃さん 後半……闇カラス 《前半》 校庭から…

56

ラビリンス【aiのべりすとver】

 小さな息子は、ひとりぼっちで泣いているに違いない。  早く帰ってあげないと、と気持ちは…

49

盲目【短編小説/ #うたスト】

 放課後、tiktokの画面を確認する。自撮り動画のイイねが20k越えた。  鞄を抱えたユズが近づ…

55

黒い羽白い花【短編小説/後編】

 煩く纏いついてくる蚊を手で払いながら、逝上は山道を歩いている。彼の前には酉島が歩いてい…

31

黒い羽白い花【短編小説/前編】

「足が棒のようだ……」  小声でひとりごちて、溜息。目の前の車道を途切れることなく行き交…

28

流星葬【短編小説】

 長らく音信不通になっていた父の消息が分かったのは先月のことだ。父は僕が十八歳の時に、僕…

229

塔の中の姫君【短編小説】

 <月曜日>  “良い魔女”は、どことなく目の焦点が定まらぬ様子で、何かをずっと考えているようだった。ラプンツェルは、彼女が窓に目をやるたびに、胸の中に蟠るもやが次第に色を濃くして、しまいには息を詰まらせるような気がしたけれど、それを口に出すと不安がはっきり形をとる気がして黙っていた。  良い魔女はそれに気がついたのかどうか。にっこり笑うとラプンツェルの長い黒髪を丁寧にブラシでとかしながら歌うように言うのだ。 「今日はどの本を読もうか? 将棋でもいいし、絵を描くのも、折り紙や

夜、祈る【短編小説】

「赤ちゃんできたかもしんない」  凛世(りぜ)は硬い声でそう言い、俺はコーラを啜った状態で…

66

株式会社リストラ【#note杯】

「私、こういうものです」  黒スーツに黒ネクタイの男が差し出す名刺にはこうあった。 『株式…

46

コロコロ変わる名探偵【#note杯】

 監督が頭を抱えて座り込んでいる。人気ドラマ『名探偵ボームズ』の主演俳優が降板したのだ。…

39

金持ちジュリエット【#note杯】

 普通なら、美しく生まれつく事は幸運だ。だがジュリエットにとっては不幸だったかもしれない…

46

アナログバイリンガル【#note杯】

「君は早希?」  モニターに向かって問いかける健(たける)の表情は真剣だ。そこには若い女性…

30

違法の冷蔵庫【#note杯】

「ビール飲んでいい?」  花田が台所に行こうと立ち上がった時、青木はその腕を掴もうとして…

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しゃべるピアノ【410文字小説#note杯】

 ピアノの天才少女、ナナは演奏会に向かう途中で事故に遭い、短い生涯を閉じた。 双子の妹、アナの元にはバケツ百杯分の同情と慰めのメッセージが押し寄せた。そして少しの陰口も。 「本当はホッとしてるんじゃない?もう比べられることないもんね」  同じ時期にピアノを始めたアナは、全く才能が無かった。ナナと連弾しても腕の差は歴然としていて、ナナは口では何も言わなかったけれど、失望が伝わってきた。  ナナの死後、アナは再びピアノを弾き出した。ナナそっくりの弾き方で。彼女は言った。 「ピ