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「僕は今日も違うカメラマンの男とデートをする⑥」 special by wakame shinya

3/10 17:30

この日は偶然にも休みで、撮影もなかったから、いっぱい眠った。生憎の雨の中の梅田は、コロナの影響か人通りは少なかった気がする。
『あれ、シンヤさん?』真っ赤なスタジャンと黒縁メガネのを着た男性が今日のデートの相手。ビニール傘がくっきり映っているように見えた。

彼は、僕よりも小さくてムキムキで、それでいて何となくだが若く感じられるようなスタイルだった。


『あぁ、どうも。』

照れながらこっちを向いて話す彼の睫毛は長く、女性である僕でさえ羨ましがるような顔立ちである、そんな彼の後ろ姿を追いかけた。
梅田の茶屋町方面に向かいつつ、中崎町へ。
夕方17:00頃の中崎町は夕焼け空と夜の間に照らされて、帰路に着く人が多い。

彼はこの企画について知りたがっていた。

「これって、一緒にとるんでしたっけ?」
『これってnoteに書かれるんですよね?うわぁ…なんて書かれるんやろ…うわぁ』と不安がっていたが、僕はいたって冷静沈着で、首を振って『本当に悪いようには書かないから大丈夫。』と彼を宥める。今日の彼はよく喋る相手だ。

軽くパンケーキを食べて、淀川に。
夜の淀川の水面は大きく揺れ、明日の天気が荒れるだろうなと思うくらいの風が立つ。行く前に飲み物を買っていて正解だった。僕らは防波堤の前で軽く乾杯をした。なんだかやんちゃしてんな、僕らって。そう語りかけようとした時に彼はそっと語った。

『僕ね、もっとフォロワー数増やしたくて、違う意味で増やしたくて。増やしていろんな意味で見てもらいたくて、パシャスタイル認定された時、僕ね、パシャスタイルの投稿をやめようか迷ったんやけど、でももうそんなこと考えてたら次の撮影に行ってましたわ。』

彼の眼差しはかっこよく、夜景の光が彼の瞳に写るのがわかった。水面が防波堤に当たる音や、少し肌寒い風もまさに青春で、楽しい。

熱く語る彼の背中を大きくて、抱きしめたくなる。セルフポートレートは彼の背後から撮った。初めましての相手だし、抱きしめることは出来なかったが、そばに駆け寄った時、熱い「何か」を感じた。

帰り道、パシャスタイルの話になった。パシャスタイルってのは一個の登竜門だと思ってくれていい。認定されると認定作品として公式サイトに掲載してくれる。

僕は毎日、パシャスタイルに認定されるように頑張っているが、認定されないことを彼に相談した。
彼は笑って、『そんなことないから!サッチョンさん僕、フォローする前に知ってるからね!ええ写真やからすぐ認定されるから!』
と励ましてくれた。『じゃあ取ったらラーメン一杯ご馳走してよね!』というと苦笑いした。

21:30 の梅田。
彼と歩いたデートの道はあったかく、忘れられない日になった。

Special Thanks..
wakame shinya

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写真を撮るOLです。