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「僕は今日も違うカメラマンの男とデートをする11」 special by 水槽学

12.8。

ある意味、これは挑戦的なのかもしれない。

彼氏に申し訳ないし、彼氏に相談したら「いや別にひかりが、その人とのとこへいかんでしょうに。ひかりは好きなようにしたらよろしいがな。お好きになされ。」と言ってくれるが申し訳なさすぎて、もうこの企画は絶対に封印させようと思っていたのだが、意外にも依頼が入っていた。今回は若い男性からだった。

難波はもう寒い年末を迎えていた。

2020年も残りわずかの難波駅、コロナは猛威で時すでには皆、色とりどりのマスクをつけていた。高島屋の正面玄関で待ち合わせ、その男は立っていた。

「初めまして〜」

大荷物の彼は、細い体をしていた。メガネをかけている。おいおい、最近はメガネの男子率多めじゃないか。カメラ界隈はメガネ率多しなのか、僕は、心の中でそっと呟いた。

「今日はね、ストロボの練習も兼ねたくて。3chon.さん、頼みますね。」

ああ、なんて一点の曇りもないのか。彼は純潔な笑顔を僕に向けた。キラキラな笑顔ビームは僕の瞳を刺すようだ。

hotel five、今日の僕たちの戦場。1杯のウェルカムドリンクがついている。僕はもちろんブラックコーヒーを入れてもらった。「ブラック飲むんですね。僕はカルピスソーダ―にしようかな」彼はそう言ってボタンを押した。人差し指はお箸のようで、細いくて折れやすそうな指をしていた。ホテルの室内に入って一服する。タバコの煙がゆらゆらと彼の顔を隠す。口元だけが彼の下唇をリアルに演出させるようだった。彼は、落ち着きもなくストロボスタンドの準備をしていた。でっかい袋みたいなものをストロボに被せて僕の方にむけた。レンズは僕を見ている。あのでっかく映るレンズの奥には欲をまみれた彼の瞳が見えるような気がした。

「うわぁ、でっかいレンズ。こんなレンズで人撮ってるんだね」

「そうですよ。コスプレとか多いかな?」

そういうと、でっかい袋はストロボの光を反射して、大きくピカッと光らせた。目をつぶると、光ったところがまた、白くなってまた彼の顔を隠すのであった。僕は彼が、どんな顔の人だったんだろうと思い出しながらこの記事を書いているが正直、思い出せないような感覚であった。

撮影中、彼は何度か僕を触ってきた。口に触れたり、肩を触れたり、髪の毛を触れたり。こいつ、何かあるぞ。あの一点の曇りもない笑顔の裏に絶対欲の望が詰まっているんじゃないかと思わせるようだった。

「あの、この定期的に触れるのは何ですか?」

「新たなる挑戦!ってところですかね?いやでしたか?」

特別に嫌なわけでなかったが、何で触ってくるかに違和感を感じた。こいつやっぱり何かある。そう思って僕から何か挑戦的な提案した。そう、それは一緒に風呂を入ること。

「あの、この後一緒に風呂入りましょ!ちょっといろいろ聞きたいんで」

「え!?風呂ですか・・?えと・・いや・・その・・」

彼は戸惑っていた。何、おめぇ触ってきやがって戸惑ってんだ?と思っていたが、彼は意外にもすんなりと快諾した。そして例のあの笑顔を僕の前に見せた。またあの笑顔、なぜ君はそんなニコニコできるんだ?と僕は心底腹が立つような気がした。なぜなら相手の空気に合わせているようだったからだ。

撮影後、僕は風呂に湯を貯めた。でっかいお風呂は僕たちを囲む。彼はホテルに備え付けていたバブルソープを湯の中に入れた。ジャグジー付きなので、ジャグジーをオンにするとブクブクと泡が煮えたぎる。僕たちは、背を向けながら湯船に使った。すると彼はぼそっと口を開いた。

「僕、すごく冴えないんです。アニヲタだし、何もかもが普通で。でも唯一写真が、僕を存在を表すような感じがしたんです。その時にサッチョンさんのこの企画を知って、何かもっと新しい表現が浮かんで来ないかなって」

「んで、僕の作風パクろうと。」

「いやそんなつもりやないです!!」

背後に目線を添わせると、彼は僕の方に体を向けていた。普段メガネをしていたから、メガネをとるとこんなにも普通だったのかと思ってしまったが目をふて目にするあの画何とも印象的だった。足が僕の陰部に当たりそうだったので、ジャグジーの泡で隠した。噴出口が陰部に当たるのが若干変なプレイを感じさせるような感覚だった。僕は自分の愛用のカメラをお風呂の中に持ち込んで撮影した。防水カメラではなかったので、少しだけしか取らなかったが、二人でお湯を掛け合ってバシャバシャしながら撮った。カメラ、壊れてないといいけど。

終わり際、二人のポートレートを撮ることにした。毎回恒例のヘッダーのあの写真、どうしようか試行錯誤をしながら撮っていたが、いまいちで。すると、ネクタイがヒラリと手の甲を当たったので、僕は、鏡ごしに彼のネクタイを引っ張りながら撮った。こんなもの撮ったら彼氏に怒られるような気がするけど、なんとなく撮ってみたのだった。

「なんか、キスしたみたいですね。これ彼氏さんアウトちゃいますか?」

「はは。そういう風に撮ってみたかってん。これでええやろ、うちらしいわ。」

「ええですね、新たなる挑戦ちゃいますか。」

帰り際、彼とラーメンを食べた、替え玉無料のラーメン屋、ニンニクはめっちゃ入れた気がする。今キスをしたら、僕らニンニクセックスできるよって言ったらまたあの笑顔を出した。

special by 水槽学

URL:https://twitter.com/Sutten7Mukuri8?s=20


写真を撮るOLです。