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BLのことを考えていたら救急車を呼ばれた話

誰か助けてください。

タイトルの通りです。
検索避けのためにCPや作品名・キャラ名は伏せます。

まず、わたしはとあるゲーム作品に出てくる男性コンビが好きなのですが(それぞれ単体も好き)、所謂腐女子ではありません。支部でコンビ名を検索しても、R-18タグはもちろん、腐向けのタグはほぼ避けるようなオタクです。二人が仲良しでいるのは好きですが、最初から交際していたり恋人としていちゃいちゃしているのには違和感を覚えてしまうタイプです。ゆるゆる健全畑の中で慎ましく二人の絵を描きながら過ごしてきました。そんなわたしの生活が一変したのは、同じCPが好きなフォロワーの「そのCPで同人デビューしてみない?」という声かけでした。
そのフォロワー(Aさんとします)は本業でシナリオライターをしている方で、そのCP以外にもオリジナル含めさまざまなジャンルの小説やシナリオを手がけていました。シナリオを通じてではありませんがそれなりの付き合いで、コミティアなどのリアイベで実際にお会いしたこともあります。先程の通り、わたしは絵を描いているので、Aさんの書く推しCPの小説にわたしが挿絵を提供して完成したものを電子書籍で売り出し、わたしがAさんに原稿料を支払って小説そのものの売上はわたしが頂く、というシステムです。

大まかな流れはこんな感じで、
①Aさんとわたしでプロットを書く

②Aさんの指示でわたしが挿絵を描く

③Aさんに原稿料を支払い、Aさんが完全体に仕上げた小説を売り出す

④わたしが売上に応じた金額を貰う

というものです。
書いた文字数に応じた金額を固定で貰えるAさんと異なり、わたしは「もし小説の売り上げが振るわなかったら損しちゃうよな……」という一抹の不安を抱えつつ、まず①のプロット製作に取り掛かることにしました。小説化せずとも、二次創作の一環として二人を動かせるのは楽しいからです。ただ、同じCPでも、Aさんとわたしの認識には明確な差異がありました。

Aさんはバリバリの腐女子だったのです。

何が言いたいかというと、Aさんが作り上げる推しCPは交際前提上等、生々しい濡れ場はない方がおかしい、というくらいの濃いBLで、もうプロットの段階でそれなので、わたしは慣れないながらもそれを勉強しつついくつか小説の基盤を完成させてきました。腐女子ではないわたしがまあそういうものか、と思いつつ、結腸攻めやドライオーガズムについて学びながらそんな二人を書けたのは、ひとえにキャラ愛あってこそだったと思います。ところが、3〜4本書き上げたあたりで事件は起こりました。

玉井、無自覚で地雷を踏む

気をつけて 地雷は踏むまで 分からない
(春のオタク交通安全標語)

そんなわたしのキャラ愛が崩壊する時がやってきました。地雷を踏んだのです。その地雷とは「攻めのヤンデレ化」でした。ツイッターで調べた感じ、ヤンデレ化に限らずこういうキャラ改変は好きな人と嫌いな人が半々くらいの「好き嫌いが分かれる」ジャンルかと思いました。わたしは地雷でした。最初は自分自身これが地雷だと気付けていなかったので、わたしは時に血反吐を吐き、時に頭痛で寝込み、時に離人症(自分が誰か分からなくなるメンタルの異常)になりながらヤンデレ化した攻めと向き合いプロットを書きました。後ほどAさんも「ヤンデレ化は地雷」というわたしの事実を知ってくれたので、プロットの段階でヤンデレ化した攻めの処遇を大幅に変更し、シナリオもかなり変えて完結させました。完結させたはいいのですが、わたしは地雷の後遺症のようなもので、大好きだった攻めを「悪質なヤンデレストーカー」としか認識できないようになり、公式はもちろんあらゆる平和な二次創作でさえ直視できないレベルで嫌悪感を抱くようになってしまったのです。たぶん時間が解決してくれる問題だとは思います(余談ですが、メンクリの主治医に「しばらく嫌いなものや人からは離れて別のことを考えてください」と言われました)が、わたしはAさんとプロットを書くという作業に延々と向き合っている以上それができないのです。悲しいですね。そうこうしている間に原稿料の話や完成しているプロットの挿絵の話が舞い込んできます。こういう環境なので離れられません。ごめんなさい。

見知らぬ、天井


そんなこんなで、もうやめたい、推しCPをこれ以上汗と涙と血と精液で汚したくはない、うっすらとはいえもう嫌だと言いつつもAさんはあくまで継続する方向であれやこれやとはぐらかされて原稿料(カネ)の話を持ち出され、ああ、もうこれは死ぬまで逃れられないんだな、この人に金と絵を貢ぐまでこの苦しみは終わらない、この人とは死ぬまで一緒なんだな……(諦観)と考えていた矢先の出来事でした。
足元がおぼつかない、首から上が全部痛い、眩暈と吐き気が止まらない、という症状がいっぺんに襲ってきたのです。出先だったのが災いして歩行も困難になり、都内の大きめの駅のホームで非常ボタンを押して、駆けつけた駅員さんによって車椅子に乗せられ駅の救護室に寝かせられたのが午後の5時。持ち歩いているロキソニンとデパスを胃に流し、わたしはこの嵐が去ることを願いつつ横になりました。しかし寝ていたところでBLは依然としてそこにいます。逃げても逃げてもそこは男の花園。原稿料をAさんに貢ぐ話は流れてくれません。この時点で軽く離人症も出ていたかもしれませんが、いかんせん頭が痛すぎて意識が朦朧としていました。午後8時を過ぎ、「これ以上はここ(救護室)にはいられません」という死刑宣告。試しに立ち上がってみても近場にある改札にすら辿り着けないほど上手く歩けなかったため、わたしはあれよあれよと救急車を呼ばれました。ほどなく駆けつけた救急隊員の方々に血圧や脈拍を測られ検温されたり目にライトを当てられたりして、結果は「意識は鮮明であり数値も全部正常」。精神系の問題だから当たり前ですよね。とはいえ救急車に乗せられるべくわたしは担架に乗せられ救護室から救急車の中に運び込まれました。救急車の中で「精神系のトラブルなら今医者に行っても解決しない可能性が高いですが……」と言われてわたしは我に返りました。

これ歩けるのでは?普通に帰れるのでは?

試しに数歩歩いてみると、すっかり元に戻っていて、わたしはそのまま救急隊員と警察の方々に頭を下げて普通に電車で帰宅しました。救護室で寝たのも救急車に乗ったのも6年ぶりでした。仮に搬送されて、初対面の医者に「ボーイズラブで悩んでて……」と言ったらどんな反応をしてくるかちょっと気になるところだったのですが、それはそれ、これはこれです。
ここまできたらわたしも諦めるしかないというか。わたしはこの先も、原稿料という名の金を払いながら、男の園に虹を掛ける作業をしていくのでしょう。いくら吠えても暴れてもひたすら電流を流され続けた犬が抵抗をやめるあれに近いです。学習性無力感っていうんでしたっけ。だって何を言おうが何度も何度もはぐらかされたり丸め込まれたりして、原稿料を払って絵を差し出す運命からは逃げられませんもん。わたしに残された道は二つで、絵を提供して原稿料を払うかその前に死ぬかなんです。もう無理です。ボーイズラブなんてこりごりです。わたしはあと何回推しの絶頂シーンを見届けなきゃいけないんでしょうか。わたしの生涯賃金のうち何割がAさんの原稿料になるのでしょうか。推しCPと言っていましたが、今はもうわたしから金を吸い上げてくる機構にしか見えません。キャラも同じです。好きでも何でもありません。
誰か助けてください。

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