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「怪物」を見た 感想

こんにちはラテです☕️🥛

今日は映画「怪物」の感想を書いていこうと思います。
⚠️一部ネタバレを含みますのでまだ見られていない方はご注意ください⚠️

私は坂元裕二さんの大ファンであり、映画大好き人間なので、この「怪物」に関しては年始に情報解禁してからずーーっと楽しみで、頑張ろうと思えるきっかけでもありました。
だって是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一なんてこんな豪華なタッグって一生に一度じゃないですか。本当にこの世に生まれて、この御三方と同じ時を過ごせて、リアルタイムで生み出された作品を劇場で見ることができるなんてこんな贅沢ありますか😭本当に幸せな時間でした。終わった後そのままの勢いでパンフレットもゲットしました!売り切れてなくて良かったー!!!

何度も何度も予告を見て、カンヌも見て、こんな期待大で行ってしまって大丈夫なのか?と心配になる程期待していきましたが、なんでこんな期待を超えてくるんですかね。。。もはや怖いです。。。
なんというか見終わった直後の感想は「歴史に残る作品を見せつけられた」でした。
うまく言葉にできないけど、歴史的瞬間というか、そういう2時間を過ごしたという感覚がすごく残りました。

私がこの作品を見て1番感じ取ったことは「誰もが、誰かの被害者であり加害者であること。」ということでした。
私には今回の作品に出てきた登場人物全員が被害者であり加害者であるように感じましたし、実際そうだったと思います。
例えば麦野早織(安藤サクラ)。早織の目線で描かれる1つ目の物語のとき、すごく感情移入できて涙が出るほど辛かったです。自分の息子が明らかにおかしくなっていっているのに全く対応しない学校。そして旦那さんも亡くなっているため、誰にも相談できない状況。シングルマザーだからこそ必ず自分の手で息子を守り抜かなければいけないという思いがヒシヒシと伝わりただただ辛かったし、学校がとにかく憎い時間でした。私は麦野早織が被害者であるという先入観に溶け込み、加害者になり得る可能性など全くもって考えませんでした。でも、麦野早織は2つ目の物語の中心となる保利先生(瑛太)にとっては加害者でもあったんです。だって、麦野早織が原因で保利先生の日常は一変したんですから。保利先生目線で描かれていく中で、だんだんこの事実に気づいていく自分がいましたが、気付きたくなかったというのが本音です。だって怖すぎます。自分の視野の狭さも、先入観も、被害者と加害者は表裏一体というか、自分から見たら自分が1番可哀想なのに、誰かにとったら憎い存在になってしまう可能性がある事実も、今までこれに毛づかなかった自分も、そういう今まで気づかないふりして過ごしてきたことを一気に突きつけられた気がして、気がつくのが怖かったです。これに気づくのってすごく勇気がいりません?思わず自分の今までを振り返ってしまいます。

私たちは、この学校で起きている出来事を「怪物」という作品を通して客観的に見ています。だから、誰しもが被害者であり加害者であることに気づけるんです。でも、「怪物」の中で生き続けている登場人物はこれからもそれに気付けることはないでしょう。それが私たちの生きる現実世界と妙にマッチしていて怖いです。だって私たちも、生きる中で喧嘩とか揉め事とかするじゃないですか。友達に愚痴こぼしたり。それって基本自分は被害者って思い込んでるんですよね。でも向こうも自分のこと被害者って思い込んでるんですよね。仲直りはできてもここが分かり合えることってごく僅か、奇跡みたいな確率なんじゃないですか?「怪物」のように出来事を客観的に見ることができれば、物事の本質が見えてくるのに、当事者になったらそんなことはできないし、そんな余裕なんてない。この小さな思い込みの積み重ねが大きくなっていって「怪物」のように爆発するかもしれない。怖いです。

この作品では沢山の大人が出てきたけれど、最も強かったのは麦野湊と星川依里、この2人に限りますよね。
湊は、周りの子に巻き込まれて依里に対するイジメに加担してしまったり、依里に無神経なことを言って傷つけたり弱い一面もありました。でも最終的には本当に強い子だった。依里のために1人で行動したり、依里をそっと守ったり。普通の作品だったら湊のようなポジションの子は依里のことをみんなから守っていじめをやめさせたり「俺はずっと味方だから」とかそういうセリフを言ったりすると思うんです。でも湊は違ってそういう表面的な優しさというより内面から湧き立つような優しさを持った子だった。それがすごく良かったなと思ったし、それが依里にとっても居心地がいい場所というか、2人が精神的に寄り添える関係に繋がったんだと思います。

依里は精神的に強くて、見た目はみんなより小さく見えたり、子供っぽく見えたりするけれどクラスの中で1番大人だったと感じます。それは、イジメや家庭内暴力を人に言わずにただただ堪えることがいいとかそれが大人っぽいとかそういうことじゃなくて、なんというか、、、泣きもせず、ただただ日常をこなしていって、イジメられている時って自分は余裕がないはずなのに「ありがとう」も言えるし、人に優しくできる余裕があって、、、なんというか言葉にはうまく表せないけれどとにかく凄い子でしたね。

「怪物」の教室であっていたことって、絶対にあってはならないことです。人を傷つけてはいけないし、それを見て見ぬふりをしてもいけない。絶対にダメなんです。でも、なんというか見ていて少し共感できてしまったのも事実です。嫌がらせとイジメって言葉は違うけれど、それをした人、された人、見た人、聞いた人、誰か1人でもイジメと思えばそれはイジメなんです。でも「ドッキリだから」とかそういう言葉で自分の罪悪感を無くそうとしたり、そういう言葉で自分を言い聞かせたりしてしまう。小学校ってすごくコミュニティが狭いから、なかなか声を上がれない、抜け出せない。こういうことを私が実際に経験したわけではないんですけどすごく共感できる情景で切なかったです。それがわかってしまう自分も悔しかった。

あと、性自認の問題について。湊がいつからそういう感情になり始めたのか、一回見ただけでは私にはわからなかったけれど、「幸せになれないことがバレるから」この一言に全てが詰まっているように感じました。そもそも、顔も体型も性格も誰1人としてこの世に同じ人はいません。作品を見た時の感想だってそうです。それと同じように好きだと感じる対象だって人それぞれ違うに決まってるじゃないですか。それをなんでわざわざ、男とか女とかに区別してあーだこーだいうんですかね。同性同士だと結婚できないからですか?子供ができないからですか?どうしてなんですかね。人それぞれ違うに決まってるのになんでこう型にハマらないとダメっていう風潮があるんでしょうか。人と違うなんて当たり前のことなのに、それが幸せに繋がらないって小学生の時点で悟るなんて切なすぎます。でもこれは映画の世界だけじゃなくて、今の日本でもそうです。小学生の時なんてなおさらダメだとか思っちゃいますよね。悪いことじゃないのに。こんなに切ないことってありますかね。差別も犯罪もイジメも無くなって欲しいけれど、それと同等にこの区別に対する考え方も無くなって欲しいです。「怪物」はすごいタッグが組まれた超話題作だし、老若男女の方が見られると思います。少なくとも見られた方が少しでもここに引っかかってくれれば、少しは未来は明るいのかなと思います。

1人で見にいったので、感想を言い合える人もおらず、溜まった思いをそのままここにぶつけてみました!

帰ってきてその勢いで一気に書いたので、言葉が至らない点や伝わりづらい表現もあったかと思いますが、ここまで見ていただきありがとうございました!!!

語りたいことはまだまだ沢山ありますので、見られた方、一言の感想でもいいのでコメント頂けると嬉しいです😌💝!

ではまた☕️👋

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