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【『無能なナナ』第12巻ネタバレ考察】ナナVSナナオ、小野寺兄妹の再会と物語に大きな動き!

※注意※
※単行本派による考察です。
※もちろんネタバレあり。
※原作を確認してはいますが個人の妄想に近いものなので、信憑性は保証できません。
ちなみに前回の記事です↓

今までにないほど物語が大きく動いたと言っても過言ではない第12巻。今回は前置きなしで内容に切り込んでいきましょう!

ナナVSナナオ! 明らかになる胸中

(心中だと「しんじゅう」とも読めちゃうからね…)

1|ナナオのナナへの執着は「自己嫌悪」

今回最も大事は、ナナとナナオの直接対決の顛末ではないでしょうか。

ナナ陣営(能力者側)のナナオを味方につけようという思惑から始まったナナとナナオの対峙。島での行動を悔い償おうとするナナは一貫して嘘はつかず(全てを明かすわけではないにせよ)、誠実にナナオと向き合いました。しかしナナオにとってはこの立場を入れ替えたやり直しは意趣返しです。

…とか語ってみたものの、私はこの2人のやり取りには思い入れがないので結論からいきますね!

ナナオのナナへの執着は、自己嫌悪でした!!!

ナナにだけ異常に執着するのも、破れかぶれに見えるほどの自暴自棄も厭世観も、今回予知夢のような形で描かれた自殺行為(110ページ)も、ぜーんぶ自己嫌悪! 自分と正反対ながらどこか自分と似ているナナ。しかも彼女は自ら道を切り開き、自分が得られなかった仲間を得て前へ進んでいく。彼女がかつて自分を裏切ったということは、自分が愚かにも騙されたということでもありますし、自分の欠点を何かにつけ自覚させる存在だったのでしょう。

さらに鶴岡の言うとおり、ナナオはナナに救いを求めてもいた(43ページ)のだと思います。自分に似ていてあのとき嘘でも手を差し伸べたナナに何かを期待してしまうのは納得できる感情です。

これについては以前の記事で考察していました。興味のある方はどうぞー。

しかしまあ今回何やかんやあって、その点についてはナナオの中で消化できました。よかったね!(雑)

2|ナナオと鶴岡の関係の謎

しかしそうなると一抹の違和感を覚えるのが、ナナオと鶴岡の関係です。

予てよりナナオはナナのこと以外では鶴岡に過度に協力的でした。人体実験に自分の体を差し出すし、何だかんだで命令には従っています(繰り返しますがあくまでナナのこと以外では)。しかもなんと今回は、命を差し出すことすら拒否していません(40ページ)。鶴岡の申し入れの際に一旦激昂していますが(38ページ)、これは異形化が近いという指摘に対するものでしょう。

さらに気になるのが、鶴岡の方便を聞くなというリンの助言によって、むしろそれに反発するかのように鶴岡の申し入れを受けようとする様子です。ナナは憎い、他の能力者も死んでいい、そしてリンの助言には反発するーーしかし鶴岡の言うことだけは聞くんですよ! どういうこと! 異形化を不安に思うが故の自暴自棄とかナナや能力者に対する復讐心なんかでは説明できないものがありますよ!

しかし本人の独白によると

「まあもともと鶴岡を信頼していたわけじゃない」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻50ページ

とのこと。信用でなく信頼…なのは気にしなくていいところなのか。

鶴岡の下にいればナナにも関与できるし、島にいた能力者たちを苦しめることもできる、だから従っていた、までは納得なのですが。いくら異形化が近いとはいえ、献体として命も差し出していいってなるかな??? あまつさえ自分の死後にサンプルとしての役目をキョウヤに託している(195ページ)というのに!

これに関する考察は別枠で!

3|ナナオついに「人類の敵」化!

最後になりましたがナナオに関して今回最大のポイントはこれですよね! 242ページ、右半面が明らかに異形化しています。

上で触れた吐き気はこの前触れという考え方もあるかもしれませんが、死を受け入れることを思った直後でしたからねー。異形化は邪悪な心によって進むということだったので、関係ないかなと。

今回の彼の変貌を見るに、能力者が人類の敵化するという説はプロパガンダなどではなく真実なのでしょうね。リンは聞いたことがないし下らないと吐き捨てていました(30ページ)が。つまり島の前世代では死ぬ前に異形化した者はいなかったということでしょうか。まあこれは次巻で明らかになるんでしょうけど!

4|ナナオの能力に関する新事実

今回新たにわかったのは、ナナオは無能力化と電波の放出を同時にはできないということですね。まあそれだけですが、今後何かと出てくるんでしょうね。

小野寺リンの過去と心情がついに語られる!

ついに小野寺兄妹が再会! 物語上大きな出来事ではありますが、正直やっとかと待ちくたびれていた人も多いはず。処刑前に顔を合わせるんですね。あと省略されてたんでしょうけど、キョウヤはあっさり妹を認識するんですね。しかし収監されたら日記を見返せませんし、明日から彼の記憶はどうなるんでしょう…。

というのも気になりますがそれより大事なのはこれ↓。

1|「元の姿」から読み取れる心情と変身能力

「一瞬だけ元の姿に戻って能力を使うことができた
 そう 元の姿だ」
「こんなの私じゃない」
「こんな役立たずの姿 兄さんにだけは見られたく…」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻268〜269ページ

そう思った直後に兄に見つかるというのは皮肉ではありますが、多くの読者は2人が出会えてよかった、キョウヤがリンを妹だとわかってよかったと思っているのでは…。

しかしそれはおいといてですね。リンも強烈な自己嫌悪でした。既に前巻の回想で、兄の足手まといにしかならない自分が消えたいほど嫌いだということはわかっていたので、予想の範囲内ではあります。

そしてどうやらこの自己嫌悪から、完全に「橘ジン」という別人になりきって過ごしていたんだろうというのも推測できますね。

「私は何者でもない
 自分を殺したあのときから何者でもなくなった
 そう……」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻277ページ

この2コマが明らかに示唆していますよねー。「元の姿に戻れた」という表現からも前巻の蝶の描写からも、リンに変身能力があるのは間違いないでしょうし。さすがにリン=ジン【変身】確定でしょ。次巻では…次巻こそは名言してくれると信じていますが! もうジン【変身】て打つのは面倒なので、さっさと確定させてほしいものもです!

2|リンとジン【本体】の出会い!

誰ですかリンとジンは島に渡る前に出会ったとか言ってた人は! はい! 前回の全力で書いた記事があっさり否定されましたー!

リンもジンも島に徴募されていて、人気のない浜辺でクラスメイトに襲われているリンをジンが助ける形で出会いました(304ページ)。

出会いのエピソードは確定として、読者が気になるのはこの後のこと、どうやって2人が親密になったかですよね。小野寺リンが本来の姿(彼女にとってはそうでないにせよ)で初登場したのが第10巻。ジン【本体】に至っては動いて喋るのはこの第12巻が初めてなので、この2人の関係については現状謎だらけです。ファンは悲しい展開を予想しながらも、嬉しい悲鳴を上げているのではないでしょうか。

何しろリンは自分は何者でもなくなったと言いながらそれは

「彼に会うまでは」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻278ページ

と付け加えてますからね!

リンが最愛(暫定)の兄の他に、そこまで特別視する橘ジンとは…。『無能なナナ』に関してキャラ萌えのない私でも、この2人が島で何をしていたのかはものすごく気になります! だって『無能なナナ』3大謎の1つ小野寺兄妹の過去が明かされた今、残っているのはリンとジンの関係と目的鶴岡の行動原理の2つですからね!

では前者について、具体的に気になる点をまとめましょうか。

3|リンとジンに関する謎のまとめ

  1. リンとジンが親密になった原因・理由(特に「彼に会うまでは」について)

  2. 2人の目的は政府の悪政を暴くことなのか

  3. リンがジンの姿で過ごすようになった理由(ジンの昏睡の前か後かなど)

  4. ジンは何故昏睡状態に陥ったのか

  5. 2人がサイキックウォーから生き延びた具体的なあらまし

この2人について知ることは、サイキックウォーについて知ることでもありますからね。ここからかなり大事な回想と語りが展開されるのは間違いありません。気になることがありすぎる!

そして実はこのブログは『無能なナナ』に関しては考察サイトなので、一応できる範囲で謎について考察してみますね。

考察3-1|リンとジンが親密になった原因・理由

これは前の記事にも書きましたが、おそらく家族のことに端を発した政府への不信、そして家族を思う気持ちなどから共鳴したのではないでしょうか。また第12巻の同級生の描写を見るに、同じレベルで話ができる相手がお互いしかいなかったというのもありそうです。

しかしそれだけでは、リンが自分を取り戻すまでになるとは思えません。だからと言ってリンの心が息を吹き返す理由として、ジンに恋愛的な好意を抱いたというのでは浅すぎる(個人の見解です)。そこで私が考えられるのは以下の2つ。

  • 3−1−1.リンに自分でも兄の役に立てるという自信を、ジンが与えた(変身能力の生かし方を教えた?)

  • 3−1−2.自分の姿を貸すことで新しい自分として生きる道を与えた

2つ目が若干抽象的ですが…。初登場のシーン(303〜304ページ)しか判断材料がありませんが、橘ジン【本体】は、能力を使った戦いに慣れていてかつ精神的にも成熟しているように見えます。だとすると能力に目覚めてからずっと無気力だったリンに出会ってから、彼女に生きる道を示すことになるのは自然な流れではないでしょうか。

考察3−2|2人の目的は政府の悪政を暴くことなのか

これはまあそうだと思います。何のために暴くのかというと、家族を守るため、能力者でも普通の生活が送れるようにするため、というところじゃないですかね。

考察3−3|リンがジンの姿で過ごすようになった理由

まあジンが提案した、許可したは大前提として、最初のきっかけとしては力の使い方を教えるのにちょうど良かったのかも? 変身能力そのものもですが、他の能力者に変身して能力を使う感覚とか。

その上で日常的に姿を借りるようになった理由としては、

  1. ジンの代わりに授業に出るため

  2. リンが自分本来の姿を嫌厭していた

  3. ジンの強力な念動力が使える状態は都合が良かった

  4. 目的のために後々入れ替わって活動する計画があった

  5. ジンの体調が悪く、身代わりとして生活する必要があった

あたりでどうでしょう。

中でも今回自己嫌悪がキーワードとして大きかったので、まず2は間違いないでしょう。5はなあ…。ジンがこの時点でそんなに体が悪そうには見えないし…。4は、最初の理由としてあったかは疑問ですが、結局現在そのとおりになってるわけですからね。

しかし動物への変身は、既にリンが無気力ながらも1人で試していたのでしょうか。それともジンがあれこれ変身させた!? いや、リンが最初に変身したのが動物だったかもしれませんしね。それこそ蝶とか。

考察3−4|ジンは何故昏睡状態に陥ったのか

これは十中八九サイキックウォーのせいだとは思いますが、能力の代償や元々体が悪かったという線も捨てきれません。今回の出会いを見る限り、もしかするとリンをかばって負傷したのかも? しかし現実的に考えて、長期間の昏睡状態に陥るような負傷ってなんだろう…。そこは漫画だからと流すべきなのか…。

考察3−5|ジンの体調が悪く、身代わりとして生活する必要があった

可能性として挙げたけど、正直登場シーンを見る限りなさそう。でも今後はわからないしなー。

鶴岡考察

なんだこのタイトル。

いや、今回はナナオに冷たく要求を(まるで予定のように)突きつけただけの鶴岡ですが、私ほどの鶴岡マニア(ファンではない)になるとね、気になるところは充分あるんですよ。

1|鶴岡は能力者?

はいしつこい。わかってるわかってる。現時点でそんな判断材料ないだろってね。はいわかってるわかってる。でもね、今回は違うの。

鶴岡、もしかしてマインドコントロール能力者じゃね?

ってことでしてね。

結構その考察してる方いらっしゃいますよね。でもこれまでは鶴岡の言動が青少年を従わせるほどに高圧的だったり飴と鞭をうまく織り交ぜたりする様子が描かれて、異能力というより心理学の応用などでできそうだったんですよね。

しかし今回気になるのは、上でも書きましたがナナオが従順すぎることだけでなく、「吐き気」(197ページ)です。もしかすると単なる死への恐怖だったり異形化の前触れだったり、そもそも気にするほどのことでもないのかも知れませんが。

ナナオの中で鶴岡に献体するのはまるで当然の流れのようなのに死への恐怖はあり、異形化の兆候を指摘されるとムキになるのに、献体は拒否する様子すら見せない。これ、あまりに不自然じゃないですか?

私は本音ではあくまで鶴岡-蘇生能力者説を推したいです。あるいは無能力。よってマインドコントロール能力者説は全く本意ではないのですが、可能性としては否定できないのが第12巻! この考察だけはどうか外れますように!

2|鶴岡の目的は「無能力化薬」でほぼ確定

鶴岡曰く、「能力者の前頭前野に能力を無効化する治療薬を作る鍵がある」(32ページ)そうで、そのために異形化の近いナナオの脳を抉りたいとのこと。こんな嘘をつくメリットはないし、まず鶴岡の目的は無能力化薬の開発で決まりでしょう。

そしてそれは治安のためなのか、特別に救いたい誰かがいるのか…。

3|苅尾政権は利用されているのかそれとも

あえて名前が明かされたことから、物語上でそれなりの役割が与えられるに違いないと私に勝手に目されている苅尾首相。記者藤島によると、苅尾政権は悪性の限りを尽くしつつも、能力者という「人類の敵」による恐怖を煽り続けることで支持率上昇の一途をたどっているそうです。

今回また名前が出てきたことでね、これやっぱり鶴岡が利用してるつもりで終盤手ひどく裏切られるんじゃないのこれ! 裏切られろよ鶴岡…。そんでナナに縋れよ…。それでこそナナが本当の強さを手に入れるってもんだろ。

あっこれ新事実でも考察でもなく純然たる私の願望だ!

4|「大勢の被験体」!?

「もちろんキャンプには貴様の他にも大勢の被験体がいる」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻37ページ

「キミやフウコちゃんだって
 いい実験のサンプルになるだろうし」

『無能なナナ』(作:るーすぼーい / 古屋 庵 スクウェア・エニックス発行 ガンガンコミックス)第12巻195ページ

  • 鶴岡の元には多くの被験体がいる

  • キョウヤやフウコもいいサンプルになる

つまり……? ミチルちゃんだって被験体としてそりゃあ優秀でしょうよ! ミチルちゃんの遺体(仮)も勿論回収してるんだよな? だって彼女の能力、治癒能力だよ。いかにも能力無効化の薬に使えそうじゃない? さすがにあのまま捨てた方が不自然でしょ、今回の話ぶりでは。

あ〜〜〜やっぱり鶴岡は蘇生能力者でありますように! ミチルちゃんが完全に蘇生しないまでも、ナナとちゃんとお別れができますように!

あとリン(ジン【変身】だけどほぼリンで確定だろ)のおそらく被験体としての利用価値が何なのかも、具体的にはわかってませんよね。変身能力が無効化能力と同様、薬の開発に有用と思われているんでしょうか。

しかし自分、これだけ鶴岡について書くことあるか…。『無能なナナ』考察サイトじゃなくて、ほとんど鶴岡考察サイトじゃん。

その他の新情報と考察

1|シオリとカズハ

この2人をまとめるなってね。

『無能なナナ』をちゃんと読んできた人なら、カズハはジン【変身】が語った「恋心からサイキックウォーの引き金となった少女」だと考えますよね。私もその1人です。

ところで今回初めて名前の出てきたシオリちゃんをカズハと繋げて考えてしまうのは私だけでしょうか。

第1巻からずっとセイヤの彼女として姿だけは見せていたシオリ。これまで台詞らしい台詞はなく、第12巻で初めて喋り、同時に名前も初めて呼ばれるに至りました。なぜこのタイミングで名前を出したのでしょうか? これは苅尾と同じで、今後何らかの大きな役割があるからでは?

そしてその役割とは、カズハを踏襲するような第2次サイキックウォーのトリガーなのでは????

(※そもそも苅尾も役割があるとは限らないというツッコミはいくらでも受け付けます)

特に根拠はないので妄想の域を出ませんがシオリはずっと存在していて、ある意味伏線は張られていたわけですよね。それが今、名前が明かされ、セイヤを焚き付けるだけが役割なんてことはないでしょう。セイヤへの強い恋心はこれまでも描写されていたわけで、恋愛脳のカズハと似たような行動原理を持っていてもそこまで不思議はありません。

2|モエとアキラ

モエの仕事はやはりムードメーカーでした。彼女の理屈がなく屈託のないキャラクターは、ナナオ説得の一助になった気がします(224〜225ページ)。多分今後もこうやって悩める人々の心を多少なりとも軽くしていくんだろうなあ。鶴岡にも効いたら面白いな。やや期待。

そして出てきたからには何かしら役割があるんだろうなと見ていたアキラ。こちらは一応能力を活かしたシーン(142ページ)はありましたが、本格的な活躍はこれからかな? 未知数ゆえに期待しています。

3|先生…

今回も出てこなかった…。そして前世代の先生は別の人だった!(見た目から)(279ページ) うーん、先生にこれ以上重要な情報はないのかなあ…。でも出ないのが逆に怪しいような気も…。

とりあえず今回こんなとこですかね。ではまた!

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