大学漫研での体験

大学に入ってサークル選びをする時期に、
どうにか、
何かを作ることがしたいと
思って、
美術サークルは無理だなと感じて
漫画研究会に仮入部みたいな願書を提出した。

田舎育ちの自分には「漫画研究会」なんて、
文字通り漫画やアニメの中でしか見たことがなく、
ある種の憧れもあった。

趣味とか分かり合える人もいるだろうし、
話しも弾むだろうし、
いろいろな興味深い人がいるだろう、
今までにない刺激的な体験があるだろう、
とわくわくする気持ちだった。

仮入部で一緒だった男の子は
アメリカ人のハーフか何かで、
見た目はほぼ日本人だけど
ものすごく明るくて優しくて
付き合いやすい子で、
声がいいから
アニメキャラのモノマネが得意で
漫画家よりは声優向きな子だった。

先輩たちも優しくて、
ラーメンを奢ってくれたり、
いかにも居心地が良さそうだった。


サークルの部屋に行くと、
壁際に漫画の棚があって
中央に大きな机がデーンとあって、
みんなで座って絵を描いたり話したりしていた。

ある男子はひたすらポケモンの絵を
紙に描いていて、
この子は本当にポケモンが好きなんだな、
と思った。

こんな感じで全体的にやっぱり内向的で、
外交タイプでも
優しい性格の人が多くて、
ある意味、
自分が子どもの頃から
探し求めてきた
「理想の環境、理想郷」
だった。

だいたい何を話しても誰とでも分かり合える。

自分が
「初代ガンダム のビームライフルの音と、
Zガンダム のビームライフルの音の違い」
という
細かすぎるモノマネをやると、
先輩たちが
「そうそう!そうだよ!上手いな!」
とウケてくれたけど、
高校以前ではこんなネタ、
わかる人なんか1人いれば
ラッキーだった。

本当に、
ハリー・ポッターのグリフィンドール寮の
談話室みたいな、
「みんながお互いを分かり合えるし、
分かってもらえる」
あたたかさ、
アットホーム感があったんだけど、

なぜか、
「自分はここにいてはいけない」
という焦りのような、
背中がジリジリする駆り立てられる感覚があった。

どう見ても最高のサークル、
平和で分かり合える楽しい場所なのに、
なぜか、
自分はそこにいたらいけない、
みたいな強い感覚があった。

理由を考えると、
あまりにも平和で分かり合える環境だから、
ある種、
成長や変化のチャンス、
刺激になるものがなかった、
と思う。

似たような趣味や性格の人が集まると、
平和なんだけど、
何か、
ある種の硬直が起きる。

それで、
ある種の行き詰まりというか閉塞感を感じて
美芸サークルに行き始めると、
女性率が高いのもあって、
自分とは違うエネルギー、
活発だったり
気が強かったり、
漫研ほど
平和ではないし緊張感もあるけど、
生き生きとした感じがあった。
このサークルも結局行けなくなったけど、

やっぱり人間が生き生きとしたり
変化の刺激を感じるのは、
「価値観や性格の違い」とかズレ、
そこから競争意識だったりケンカとか
起こるんだけど、
そういう場所にむしろ導かれるんだと
思った。

いろいろな人の話を聞くと、
どうもそうなっている。

ビルとヘレンもそうだったな。

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