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知った気になってた。たった『煎る』という二文字に隠された職人技。

そもそも落花生が煎られてると言う事を、しっかりと把握している人はどのくらいいるのだろう。そんな事をふと思った。

ことの発端は、一つの卵からだった。スーパーで販売されている卵でも、安いのと高いのがある。この価格の差ってなんだろう。

『餌かな?』

そんな話をしている時に、ふと思い出した言葉が『うちは若鶏なんで。』という付き合いのある養鶏場さんの社長の言葉。

『若鶏?』

もしかして卵を産む鶏の年齢などによっても、卵質が変わって安く売り出されているのではないか。そんな事を考えた。その時に、以前から聞いていた『若鶏だから。』という言葉を、僕は軽く受け流していたことに気がついた。

卵の話を詳しくすると『落花生の煎る』から、とても逸脱してしまうので、この辺で止めときますが、普段話をしていて知った気になっているのではないだろうか。

そんな事を思った。

そこから、販売している僕らは落花生が煎るものだという事が当たり前になり、落花生は火を通して食べられる。というのが当然となっていく。僕らには当たり前のことでも、食べるお客様はどの程度、煎るものなのか。どうやって煎るのか。はたまた煎られたものという事すら、もしかしたら知らないのかもしれない。

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『もう一度、煎るについて聞いてみよう。』

工場の責任者に若鶏の話をし始め、もう一度落花生の製造に関して話を聞きたい。とお願いしたところ、こんな回答がきた。

『えっ!養鶏場さんほど、うちは大したことしてないですよ。』

大抵の工場の方は、こう答える。それは、日々やっている事が当たり前のように感じるからだ。それは僕たちもそうで、落花生が煎るというのが当たり前に感じ、伝えることが何となく慣れてしまう。

『とりあえず、煎るについて聞かせてください。』

そうお願いして聞いていくと、もはや職人技の何ものでもなかった。僕の煎るのイメージは、機械に時間をセットして後は機械がやってくれる。そんなイメージ。

でも聞いていくと、煎る機械によっても出来上がる時間も違えば、季節によっても違う。さらに釜に入れる落花生自体によっても違うから、常に火をいれている間は、機械とにらめっこしている状態だという。

そして最も美味しい。と感じる色味を工場スタッフと共有し、同じ仕上がりになるように煎るのだとか。出来上がりが浅い煎り方だと、食感も少し湿気た感じの柔らかい食感になり、酸化しやすく劣化も早い。

はたまた煎りすぎると、深煎りになりお客様は『苦い。』『煎りすぎてない?』と敏感に反応するのだとか。

じゃぁ、その浅くもなく深煎りでもない、ちょうど良い時間ってどのくらいなのか。と聞いたところ

『20秒から30秒くらいかな。』

驚きの連続だった。煎るというのにも幅が広く、機械が勝手にやってくれるものでもない。もっと言えば、釜の温度は約120℃。煎り具合を見てるだけでも火傷しそうだ。

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『秒単位の職人技』

聞いてみて思ったのが、『やっぱりなぁ』という感想。僕らの表現では、たった二文字の『煎る』かもしれないけど、その二文字には経験として積まなければいけない時間もあれば、良い品質を保つための瞬時の判断をしている時間がある。

伝えるのは簡単だけど、やってみるのはとてつもなく難しいことなんだなあ。というのを改めて知った。

極めていくと釜から出る煙の具合で、わかってくるのだとか。言葉では簡単だし、ここまで聞いて初めて感じた『煎る』難しさ。

まだまだ、知った気になっている事って他にもあるんだろうな。ただ、聞くだけではなく、今度はしっかりと煎るという時間をスタッフと見させてもらい、煎る難しさというのを肌で感じてみたい。そう思った。

よし、頑張ってこ!

引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

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