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エッセイー「かわいい」は魔法の言葉

 「かわいい」と女の子がよく口にする言葉。今回は、この言葉にスポットを当てて書いてみる。


 いつ頃からだろう。「かわいい」が使われ出したのは。還暦に近いわたしが、この言葉をよく耳にするようになったのは、確か高校生時分くらいだったと想像する。


 同世代の女の子たちが、子犬や子猫を見て「かわいい」と言ったり、テレビやコンサートでアイドルの男の子を眺めて「キャーかわいい」などと口にする姿を、よく目や耳にするようになったと、記憶している。


 「ほんま、何見ても『かわいい』やな」と、半ばあきれ顔で女子を眺めていたのを想い出す。


 「かわいい」は魔法の言葉だ。人や動物、洋服、雑貨・アクセサリー、ケーキ・ドリンクなど何に対しても当てはまるのである。


 自分が気に入ったものすべてに、この言葉を投げかけておけば、その場の雰囲気が見事に収まる、万能の形容詞なのだ。


 わたしは、この「かわいい」が至る所で幅を利かせるようになって、女子のボキャブラリー不足を見事に補ったと、分析している(笑)。まるで、万能の調味料「醤油」が存在したおかげで、西洋諸国のようにスパイスを探し求める必要がなかった如く、である。


 この「かわいい」という言葉、最近は女子だけでなく、若い男の子もよく使っている。若いカップルがデートに行った際、「このボールペン、かわいくない?」「うん、かわいい」などと言葉を交わす。左記のように「かわいい」の一語で、会話が成立するのである(笑)。


 わたしの経験を振り返ると、大学生のときに付き合った彼女が、わたしの初恋話を聞いた感想を、「哲ちゃんのお話、とってもかわいかったよ」と応えていたのを、いまも鮮明に覚えている。

 「かわいい」「可愛い」「カワイイ」「kawaii」。表現を変えても中身は共通する。日本が世界に誇る魔法の形容詞「かわいい」なのである。
 
                                            

哲ちゃん


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