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『すうがくでせかいをみるの』レビュー

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『すうがくでせかいをみるの』

ミゲル・タンコ(著) / 福本 友美子(翻訳)

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またまたちょっと変わった絵本のご紹介♪

よりにもよって数学の絵本ですw

でもこれ、とっても幸せにあふれている本。
幸せな数学好き少女のお話なのですよ。

普通、数学が好きな女の子、というだけでもう、なんというか世間から排除されちゃいますよね。

よくてまあ人とはちがう、普通でない「変わった子」扱いをされてしまうことでしょう。家族からだって、扱いにくいとか、女だてらに勉強なんて……よりににもよって数学デスカ!? なーんて、いろいろ言われるのがまあ常ってところでしょう。

ところがところが、この本の主人公の女の子は違います。

まず、家族がとても良いのです。

お父さんは絵画、お母さんは昆虫研究(生物学?)、お兄ちゃんは音楽といった風にそれぞれがてんでバラバラに好きなモノに熱中しています。もう家族全員がストレンジな趣味の世界につっぱしっています。アーティスト&学者一家なのですね。そして、当然家族はお互いを全肯定。まったく否定していません。

そんな家族に囲まれて育つ女の子は、「すきなことがあるっていいな」と、ごくナチュラルに人とは違う「すきなこと」を持つことにあこがれます。
そうして、自分独自の「すきなこと」を探して、見つけるのが「数学」なのです。

やっぱり好きなことならどれだけのめり込んでも苦になりませんよね。

タイトルのとおり、数学の目で世界を見て、自然界にあるフラクタルや、さまざまな図形、そして運動の軌跡(軌道)、さらには集合まで、「すきなこと」を見る目で熱中して観察していきます。
これ、世界を数学で見る時の順番としてとても自然なんですよね。点や線、直線に曲線といった抽象的な理解の仕方よりも、まずいきなり「フラクタル」という見方があって、自然界にある「不思議」を、数学的に見つけていくのがまた良いのです。
普通の学校の教え方の順番では点、線などがあってそれからやっとフラクタルに行くはずで、順番が逆なんですが、抽象的な概念より先に目で見て触っていける自然界にあるモノからのほうが、やっぱり「自然な発見」という気がします。自分で発見した不思議を「すき」って表現していくのがまたよいですねー。

きっと、好きなことを誰にも否定されずに、好きなことに熱中できる家族の中に生まれた娘なら、たしかに世界をこういう風に(数学的に)見ていくだろうな。という気にさせてくれます。

いいなあ、幸せな家族だなあ、うらやましいなぁ(ぉぃ)なんて気持ちになっちゃうw そして、こういう女の子がどんどん増えると世界ももっと豊かになるだろうなあって気持ちにさせてくれる素敵に幸福な数学の本なのでしたw

世界中の数学好き(になるかもしれない)女の子とその家族に読んでほしいです。こういう家族がきっと世界を幸せにすると思うのです☆

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