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格安3Dプリンタでオートレベリングするよ!(Kingroon KP3S V3.0+3D Touch)

はじめに

Amazonで実売価格2万円ぐらいで買えちゃうくせに、けっこういい精度で造形してくれる、ワタクシ愛用の3Dプリンタ、Kingroon KP3Sさんで、オートレベリングに挑戦してみました~。

オートレベリングって?

オートレベリングというのは、3Dプリンタでとっても大事な造形テーブルの高さを自動で調整してくれる、ありがたーい機能のことです。

普通の手動レベリングは、ヘッドとテーブルの間の距離を、ちまちまとネジをまわしながら紙をはさんでみたりしてやっていく地味な作業なのです、。でも最初に書いたようにコレとっても大事! この値が狂ってるとまともにプリントできません!
その大事な作業をささっと自動でやってくれちゃう便利機能なのですね。

高級なプリンタにはよく最初からついていたりしますが、格安プリンタのKP3Sには当然そんなものはついていないのです。が、ななんと、後付けできるセンサーユニットがちゃっかり用意されているんですねー。

普通に買えば2300円ぐらい。今はセールでなんと1200円ぐらいで買えちゃいます。

※Amazonでも類似品売っていますが、KP3Sに使うには公式のやつを使った方が良いようです。なのでAliExpressで買うのがよさそう。ただし、到着は2週間ぐらいはかかっちゃう模様><

この写真の注射器のような部品の、針っぽい部分がセンサーになっていて、ちょんちょんとテーブルを触って位置をはかれるようになってるわけですねー。

ちょっとした問題

ウチのKP3Sは最新のV3.0で、Titanエクストルーダというやつが搭載されているバージョンです。(`・∀・´)エッヘン!!

Titanエクストルーダは↑こちらの方のように前のバージョンからわざわざアップデートして交換しようっていう人もいるぐらい安定したプリントをしてくれる素敵エクストルーダなのです。

※ちなみにこれ、オープンソースハードウェアのエクストルーダだそうですヨー。

↑ここが公式。こんなかんじでパーツごとの専門メーカーがオープンソースで部品をつくる時代になってるんですねー。こういうのまとめて組み上げると3Dプリンタができちゃう! すばらしい! っというのはおいといて……

何が問題かというと、このTitanエクストルーダ、KP3Sの最初についていたエクストルーダと形状が違うので、公式の3D TOUCHをつける場所がないのです。

AliExpressの商品説明もそうですし、

ここらへんの(たぶん唯一?)日本語での紹介記事も、古いバージョンKP3S(V1.0?)あたりで使われている昔のエクストルーダ用の記事になってます。

ううん、どうしようー?

と、ネットの海をあさっていたら、KP3S V3.0用の3D Touchマウントアダプターを作ってくれている人がいました!

Titan用の3D Touchマウントアダプター

ありがたやです☆

さっそくこれを使わせてもらいます。

マウンターをプリント

この時はまだ手動レベリング

取り付け

エクストルーダの側面につけます

センサーとマウンタはM3x4ぐらいのボルトで、マウンタとエクストルーダはM3x6ぐらいのボルトで直接ネジ止めします。(エクストルーダ側はワッシャをつかったほうがよさそう)

↑の写真のとおり、エクストルーダの側面にある放熱用のスリットの、上から二番目の穴にとりつけるのがよさそうです。

配線の仕方

配線は、本体をひっくり返して小さなネジ(小さい癖にキツキツに閉まっているところがあるのでネジ舐めちゅうい!)を沢山開けて、マザーボードに直接線を差し込みます。
差し込み方は

↑のファイルの中の


↑というファイルに詳しいです。

KP3S-3Dtouch Using Method..docx より

この写真をよく見て、差し込む場所と向きを間違えないように差し込み、また元通り蓋をしてひっくり返して終了。

設定ファイル

設定ファイルは、おなじZipの中に入っている

robin_nano_cfg.txt


というやつをいじるわけなのですが……

みてくださいこれw うるとら文字化けしてます><
ようは、

>cfg_ うんたら ‥‥

っていうところの数字が正しければ読み込めるはずなので、このまま書き換えていけばいいんですけど、説明が文字化けしているとなにいってるのかよくわかりませんね><

どうやらこれ、簡体字中国語(GB2312)というエンコードで書かれているようです(それでもちょっと化けてる)

エンコードを変更できるエディタで開けてみましょう。

秀丸エディタでエンコードを変更


エンコード変更後


これで読みたいところをコピペして、DeepL翻訳とかで訳していけばなんとなく意味わかりますね!

DeepLで翻訳していくの図

ちょっとした問題②

先ほどの

KP3S-Firmware-3Dtouch.zip

は、既に3D Touch用の設定が書いてあるので、そのまま使えばOK! のハズなんですが、ダメですw これ、Titanエクストルーダ用ではありません。

なぜかTitanエクストルーダでは、フィラメントをおくり出すモーターの回転方向が逆になっているので、

エクストルーダの向きを逆転
>INVERT_E0_DIR

↑の値を1にしないといけませんでした。

そのほか、まだいくつか修正はあるのですが、それについては後述するとして、ここまでやれば実際にオートレベリングささせてみることができます!

ファームウェアの読み込み

あ、そうそう、書き換えた robin_nano_cfg.txt は、binファイルやその他フォルダと一緒にMicroSDカードに書きこんで、KP3S本体に差し込んで電源を入れれば、自動的にファームウェアの書き換えが行われます。みりみりかきかえてくれるのでちょっと待ちます。

cfg以外にも、この一式をSDカードに入れて、本体に差し込み、電源いれればOK

オートレベリング開始!

ファームウェアの書き換えが終了すると
じゃーん!

「自動レベリング」ボタン登場!(ちょっとはみ出してるのはご愛敬)

「自動レベリング」と書かれたボタンが登場しています。
こちらをポチっとおしてみます。

すると……

動いてます!!
ちまちま針をおしつけて測ってますね!(∩´∀`)∩☆
けなげかわいい!☆
いいかんじです!

でも……

ちょっとした問題③

このままでは「テーブル面とセンサーの位置」をはかっただけにすぎません。
このセンサーの反応する位置と、エクストルーダのノズルの先っぽの位置のZ軸の差(オフセット)を正しく指定しなくてはいけないのです。

Z軸のオフセット指定場所。最初は-0.8

例の設定ファイルを探すと

>Z_PROBE_OFFSET_FROM_EXTRUDER -0.8

というやつをみつけました。初期値は -0.8 のようです。単位は書いてないけどきっとミリ。

この状態でプリントすると、いきなりテーブルにノズルをガリガリこすりつけていて、うわわあってあわてて止めました。どうやら初期位置は全然低いいようです。(Titanではないヘッド用の初期値なのでずれてます)
ためしに、-10にしたら今度は空中ににゅるにゅる出しててテーブルに定着しません。これは高すぎですね。

うええ、これを自動でやってくれるはずなのにいいい! と怨嗟の声をあげながら、設定を詰めていくしかありません。

ちょっと数値を変えて、ファームウェアアップデートして、オートレベリングして、プリントしてー、やっぱダメで――と、いったい何回くりかえしたことでしょう><

一晩お付き合いして、ようやく、それっぽい値が決まりました。

-3.1 ぐらいっぽい!

では、さっそくプリントしてみましょう!

プリントするデータは、最後にプリントしたこの3D Touchのマウンターをそのままだしてみます。

ちょっとした?問題④

プリント結果はこちら!

スッカスカ!

なにこれ!? 透明のフィラメントなの!? (違います)
スッカスカじゃないですかあ!?

おかしいなあ。作業してるあいだにフィラメント詰まったかなあ。
なんて、勘違いして取り外して掃除したり、それでも直らなくてふて寝したり。また約一日ほど無駄な時間を浪費し、ごろごろしていると天啓がひらめきました!

そういえば、Titanエクストルーダは、ノーマルより三倍パワーがあるってどっかで読んだ覚えがあります。三倍パワー、つまり、ギア比が1/3でトルクが三倍! これだああ!! って叫んでまた cfgファイルをあさります。

英語のままコメントしてくれたほうがわかりやすかったかもね

ここ! デフォルトのE0 (エクストルーダ0番)のステップ/mm。つまり、1ミリ送るのに何ステップ使うかの値!

185がデフォの値なので、それを三倍して555にします。

GoGoGo!

いざ再プリント!


ばっちり!

いえーい! こんどはばっちりです!!

ここまでやってきたあとで

このあたりを見てみると、Titanエクストルーダ用の設定ファイルがあるじゃないー。ここからいただいていけばよかったああ><
(でも、Titanエクストルーダでは3D Touch用設定はありません)

ここらへんの設定を見ると、さっきの

>DEFAULT_E0_STEPS_PER_UNIT


は 555 ではなく、764 になっていました。3倍よりおおい、4倍ちょいの値ですね。こっちのほうがいいのかも?

その他、Titanエクストルーダ用とされている値と、3D Touch用の値をマージした らせんmod robin_nano_cfg.txt  を張っておきます。

らせん版 KP3S V3.0 + 3D Touch用 robin_nano_cfg.txt

ウチはこの設定で綺麗にプリントできました。

※とくに Z_PROBE_OFFSET_FROM_EXTRUDER  の値は、ウチの子の場合は -3.1 でしたが、取り付け方によって値が変わってしまうと思うので、お使いの環境に合わせて修正してみてください~☆

ともあれ、さんざん苦労しましたが、この「ちょっとした問題」を乗り越えてきた分やっぱり可愛いKP3S君。これからも酷使する予定ですw これからもわたしのために綺麗なプリントをガリガリがんばって刷って頂戴ね!!☆

※そうそう、このKP3S君、トップ画像にあるようになぜか我が家には同型機が二台あったりします。ちょっと前に調整中にパーツを失くしてしまい、慌ててもう一台注文したら、あとからパーツが出てきたもので、気が付いたら二台に増えちゃってましたw (もっと前にはゼロ号機のV1.0バージョンもあったのですけど、それはドナドナしちゃいました。今考えればそっちで試せばよかったかも??)
二台を両方同時に使うとシンクロナイズドプリンティングできてこれまたおもしろいのでです(意味ないけどねw)
そのくらい、安くて使いまわせる良いプリンタなのですね。おすすめですよー☆

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