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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2022年7月の記事一覧

『Babel バベル』Ⅰ~Ⅳレビュー

『Babel バベル』Ⅰ~Ⅳ著者: 古宮九時 / イラスト: 森沢晴行 📚 大学一年生の水瀬雫は、夏休みの初日に、不思議な「穴」に吸い込まれてしまいます。 抜け出た先はずばり異世界。頭上にドラゴンが舞う灼熱の砂漠に転移した雫は、偶然通りかかった親切な旅人たちに助けられ、近くの町に身を寄せることに。 「なぜか言葉が通じる」この世界で、魔法文字を研究している魔法士の青年エリクと出会い、彼の協力を得、もとの世界への帰還を目指して旅をすることになります。 さてさて、この、もとの

『BREATH~呼吸の科学』レビュー

『BREATH~呼吸の科学』 ジェームズ・ネスター(著)/近藤 隆文(訳)◇ だれでも呼吸はしているはず。(してなかったら死んじゃうもんね) でも、ちゃんと意識して、理解して、正しい呼吸ができている人はいったいどれだけいることでしょう。 数千年前のヒトは正しい呼吸について理解していたらしい(古代インドのヨガや、道教、気功の教義などでは呼吸法を細かく教えているそうです)のですが、現代ではすっかり忘れ去られています。 西洋医学ではせいぜい「食」の効果は語られても、同じく体内に取

『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』レビュー

『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』キース・トーマス(著)/佐田 千織(翻訳) ◇ 2023年10月17日。ダリア・ミッチェル博士は、カルフォルニア州のオーエンス・ヴァレー電波天文台で宇宙暗黒物質に関する調査を行っていた際、謎の電磁波スパイクを観測する。 後に《パルスコード》と呼ばれる、明らかに自然現象ではないその信号は、高度な知性を持つ銀河系外の生命体が送信したものだった。 驚くべくことにその《パルスコード》は、地球人のDNAに作用、改変

『怪奇版画男』レビュー

『怪奇版画男』 唐沢なをき(著・彫?)◇ マンガ界に名作・奇作数あれど、全編「版画」で描かれた、いや、彫られたマンガはこの本だけだと思います。 なんとゆうかもうめちゃくちゃですw マンガとして面白いのは当然(!?)で、驚くべきことにすべてのページが全部版画! 漫画の絵だけじゃなく吹き出しの文字すら全部版画の写植いらず!(当たり前ですがw) それにしてもホント細かい。めちゃくちゃ手間がかかっているマンガです。 後半には二色刷りや、さらに多色のカラー刷りまで!! 写真で紹介し

『フシノカミ~辺境から始める文明再生記~』レビュー

『フシノカミ~辺境から始める文明再生記~』雨川水海(著) / 大熊まい(イラスト) 📚 全7巻。 冒頭から本好き、物語好き、技術史好きのハートをわしづかみにしてくる、めちゃくちゃに心を震わさせてくれる、本への愛が詰まったストーリー。 このたび堂々の完結です。 そんな無慈悲な「時」に抗い、本を、その本に込められた思いを、情報を、慈しみ、守護して広め、一生をかけて未来に伝えていこうと心に誓った8歳の少年、アッシュ。 少年は辺境の村の農家の生まれ。なぜか前世の記憶を持つ彼は、

『となりの魔王』レビュー

『となりの魔王』到来編・襲来編雪乃下 ナチ(著) / ちほ(イラスト) ◇ かるーい本よみたいわーと、表紙で選んでぽちったこの本。 いんやあ、これがまた大当たりでしたw もうめちゃくちゃに読みやすい。 何も考えずに読める、このリードアビリティの高さったらとんでもないです。 マンガのように読める小説をしてラノベといったのは誰だったか。そんなことを思い出しながらすらすらと読めます。そして面白いw 各話の冒頭にある四コマ漫画からすっとお話に入れるのはもちろん、舞台となる平和な