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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな…
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記事一覧

『デシベル・ジョーンズの銀河(スペース)オペラ』レビュー

『デシベル・ジョーンズの銀河(スペース)オペラ』キャサリン・M・ヴァレンテ (著) / 小野田 和子 (翻訳) ◇ 表紙の帯をみて、てっきり、「俺の歌をきけぇ!」ってやつかと思って手に取ってみた本なのですが、残念ながら日本の某アニメとはぜんぜん関係ありませんでした。ちぇー(笑) ♪♪♪ さあて、お話のほうは……? 宇宙の彼方より突如襲来した「エスカ」という青色のフラミンゴ+魚スタイルの奇っ怪なエイリアン曰く、地球人はひとりぼっちどころじゃなく、銀河には生命がみちみち

『AI覇権 4つの戦場』レビュー

『AI覇権 4つの戦場』 ポール・シャーレ (著), 伏見 威蕃 (翻訳)◇ ロシアの大統領プーチンは、「(AI分野の)リーダーになるものは世界の支配者になるだろう」と語ったのだとか。 そんなAI分野の支配者を巡る覇権争いについて、軍事アナリストである筆者が各界のキーパーソンに広く取材し、憂うべき現状をまとめあげた本です。 本の冒頭、カラーページの写真でAI制御のジェット戦闘機と人間のパイロットによる模擬戦の様子が図示されていて、SFファンとしてはめっちゃ雪風感があって気

『イシ / 北米最後の野生インディアン』レビュー

『イシ / 北米最後の野生インディアン』シオドーラ・クローバー (著) / 行方 昭夫 (翻訳) ◇ ※ご注意:本レビューは本文に従ってネイティブ・アメリカンのことをインディアンと記させていただきます。あらかじめご了承ください※ ◇ 1911年8月29日早朝、カルフォルニア州ラッセン山の麓、オロヴィルに近いある畜殺場の柵囲いに、興奮する犬に吠え立てられ追い詰められた一人の男が縋り付いていた。 彼こそは、35年前の悲劇的な衝突以来白人との接触を断ち、絶滅したと思われ

『EPUB戦記―― 電子書籍の国際標準化バトル』レビュー

『EPUB戦記―― 電子書籍の国際標準化バトル』 小林 龍生 (著)◇ 「ユニコード戦記」の続編的なポジションの本です。実際、本書の「まえがき」が「ユニコード戦記」のあとがきと被り、著者の経歴の時系列的にもユニコードでの戦いの終盤戦からこのEPUBの戦いへシームレスにつながっている形になっています。 ↑こちらの「ユニコード戦記 文字符号の国際標準化バトル」でもそうだったのですが、著者本人の体験した個々の戦場・戦闘についての戦術的なあらましが群像劇のキャラクターのような視点

ご紹介:「ザ・ボイジャー グランドツアー 海王星トラベルガイド」

七夕の夜に宇宙に思いをはせながら。 しばらくの間趣味の世界で訳し続けていた本のご紹介です。 ていうか、ボイジャーのすごさを皆さんに知ってほしいいい!! って前々から書いていましたよね! なんかボイジャー関係は鼻息あらくなっちゃうワタクシですww そうそう、最近またすんごいニュース、ありましたよね! しばらく0だけしか返答がないとかいう状態になっていてこんなこといわれていて いよいよかと思われていましたが、しっかり復活! 凄すぎます。 詳しくは、英語版記事ですが ↑

でけた

全291ページ完訳! こちらは無料にしておくのでご興味あるかたはもってっちゃってくださいー。 つかれーたー>< ↑オリジナルのPDFは軽く90メガを超えていたので圧縮してあります。圧縮で多少レイアウトが崩れてるかも?? 変な訳文も含めて気になったかたはコメントででも isuee 投げてくださればたすかるますー,,Ծ‸Ծ,, ※でけた、完訳と言ってもこれは荒訳版です。後日もうちょっと奇麗にしてリリースするとおもうー。 ちなみに、もともとパブリックドキュメントなので翻訳

『技術革新と不平等の1000年史』レビュー

『技術革新と不平等の1000年史』 (上/下)ダロン・アセモグル (著), サイモン・ジョンソン (著) 鬼澤 忍 (翻訳), 塩原 通緒 (翻訳) 📚 なかなか読み応えのある本でした。 なので長文です。レビューといいつつ感想文的な雑文です。さらに最後のところは自分用のメモなので、あえて有料化して隠しておきます。(見なくても大丈夫です。ていうか気になったらぜひ本書を読んでくださいませw) ◇ まずは故事から ラッダイト運動という言葉があります。産業革命の初期、蒸気機

¥200

『ここはすべての夜明けまえ』レビュー

『ここはすべての夜明けまえ』 間宮 改衣 著◇ 第11 回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作品です。 これがデビュー作なんてすばらしい! 「アルジャーノン」以来、ひらがな文体に涙腺がめっきり弱くなってしまったSFファンにむけられた(わけじゃないと思うけど)良作でございました! えぐえぐ(涙) この汁はきっと文体のせい!(違) いやぁ、文体で興味を持ってちら読みし始めたら、ぐいぐい引き込まれて一気読みしてしまいました。 ◇ 物語はいまから100年後、その肉体を機械に置き

『リファクタリング・ウェットウェア』レビュー(と勝手な解釈、そして達人な学習のススメ)

『リファクタリング・ウェットウェア』 ―達人プログラマーの思考法と学習法Andy Hunt(著) / 武舎広幸・武舎るみ(翻訳) ◇ わたくし、その道のプロの考え方や学習方法ってとっても興味あります。 これは、尊敬するプロのプログラマーさん、いわゆる達人プログラマーさんからおすすめ頂いた本です。 ウェットウェア、すなわち、固いハードウェアでも柔らかいソフトウェアでもない、ウェット(濡れてる?)ウェア、つまりは脳みそのことです。それをリファクタリング(機能を保ったまま改善

¥100〜
割引あり

『男たちを知らない女』レビュー

『男たちを知らない女』クリスティーナ・スウィーニー=ビアード (著) / 大谷真弓 (翻訳) ◇ 新型コロナ禍の渦中に書かれたパンデミックSFです。 ◇ とてつもない感染力をもつ、イギリスを発生源にしたこの疫病は、女性には健康被害を与えないかわり、感染した男性のじつに9割を死に至らしめます。 この疫病の第一発見者であり、早い段階で危険を察知し独力で感染経路までも特定した優秀な女医が警鐘を鳴らしたものの、関係機関(の男性たち)は女性特有のヒステリックなたわごととして一笑

『ユニコード戦記』レビュー

『ユニコード戦記』─文字符号の国際標準化バトル小林龍生 (著) ◇ ジャストシステムという会社があります。かつて、一太郎というワープロソフト(まだありますw)でぶいぶい言わせて、一太郎用の日本語フロントエンドプロセッサ(なんて今ではもう言わないとおもうけれど。IMEかな?)のATOKで、あらゆる(日本語での)文章書きのハートをわしづかみにして一世を風靡した、老舗の、特に日本語処理関係に超強い会社です。 そこに、教育雑誌の編集者(小学館で、かの『ドラえもん』担当編集者だった

『天翔ける十字軍』レビュー

『天翔ける十字軍』ポール・アンダーソン(著)/豊田有恒(訳) 「外れなし」の異名を持つポール・アンダーソン先生の書かれた異色SFです。 というかんじの中世テイストSF。なんだか言葉通りの意味でのスペースオペラ(?)になっています。 面白いのは全編がその十字軍の宇宙遠征に帯同した愚僧ことパーブス修士(修道士)が過去を回想してしたためた年代記という設えになっていることです。 なので、言い回しがとっても古風。それなのに光線兵器は出てくるわ超光速航法は出てくるわ。この文体と出来

伊豆ジオ100めぐり。ガイドブックの紹介と実際にうろうろした話。

最近、こんな本を見つけてしまったもので、伊豆のジオスポットめぐりにはまっていたりします。 伊豆ジオ100ガイドブックの紹介ま、某漫画の影響も全くないとはいえないですけれどねw ※改めて某漫画をぺらぺらめくってみると、行ったことある所がたくさんでてきていてびっくりw これはこれで聖地巡りはかどりそうw さてさて、閑話休題。 そもそもジオパークって? ジオパークというやつは世界遺産などと同様に、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が推し進めているプログラムなのだそう。

『ニセモノの錬金術師』が良いよ☆彡

『僕の妻は感情がない』で有名(?)な杉浦次郎先生原作の転生系ファンタジー漫画です。 『僕の妻は…』は杉浦先生ご自身による漫画作品なのですが(これはこれでほっこりアンドロイドSFでけっこう好き☆) 今回商業出版された『ニセモノの錬金術師』は、以前からpixivやニコニコ漫画で杉浦先生がラフ版として絵コンテ状態で発表されていた先生の趣味(?)感いっぱいの錬金術師&呪術もの。最初の方は結構絵がはいっていましたが、内容が加速するにつれ絵の方をつけていく時間がたりなくなっていったよう