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"もったいない"から生まれるもの

うちの母の口癖は「あら、もったいないじゃないの」。

水道の出しっ放しなんてもってのほか、ティッシュはちょこっと使っただけでは捨てずに隅々まで使うし(小さい頃は見ていてすごい嫌だった)、何ならレストランでの飲み物代まで"もったいない"のターゲット。

物から時間、お金までに"もったいない精神"をもつ母だったが、そんな母のもったいないスイッチが切れるのが"ショッピング"らしく、特に"セール"に激弱だ。

セールが嫌いな女の人はいないだろうけど、うちの母の場合"安く買わないともったいない"的な精神があるのか、逆にそこだけ変に太っ腹なのか、遠く離れて住む娘の分まで購入する。

しかも、たまに会う私の着ている服や好みの服を全く覚えていないのか、全く趣味の合わない服を「こんなの好きかと思って」と。

届いたものは仕方ないしもったいないし最初はなんとか着ようと頑張ったり、誰かにあげたりしていたけど、もう何を着ても似合うお年頃でもなくなったし、日々"どうにか着ないと"と思いながら無理矢理選ぶ服よりも、自分で買った好きな服を着る時間を大事にしたくて、ある時母にきっぱり「もう送らなくていい」とお断りの連絡をした。

母よ、あなたのもったいない精神はどこへ?と。

半分は理解してくれたっぽいけど、基本人の話は聞いていないので、伝わったかどうかは分からない。

現に、以前の半分ぐらいの量で洋服が送られてくる。

ものが好き

さて、母の話(愚痴?)が長くなったけど、洋服の話はさて置き、もったいないって今後とても必要なワードだと思っていて。

後半説得力がなくなってしまったけど、そんな家庭で育ったので、もったいない精神も、物が好きなのも、しっかりどちらも受け継いだ。

自分を豊かな気持ちにしてくれる、"物"は大好きだ。

作り手・売り手の拘りが詰まったものや、これがあれば生活がアップデートされる!的なものも、シュールさが伝わって心を離さないものも。

逆に大量生産にはあまり良いイメージを持っていなくて、私たちの生活を豊かに、より便利にしてくれているのはそうだけど、きっとどこか見えないところに犠牲があるのだろうな、と思ってしまう。

もちろん、そればっかりじゃない、素敵な理念を持った大企業も沢山、ある。

ただ、自分がものを作るようになってから、前よりも更に、買う事にもとても意識を置くようになって。

地球の上にはもちろんまだまだ物資が足りてなく貧困と呼ばれている国もあるのだけど、私が住んでいる日本や先進国と呼ばれている国達は、もう本当にもので溢れかえっている。

自分が何かを作るとき、実は産み出す事にもちょっぴり罪悪感がないこともないのだけど、せめて住んでる場所や、関わった人達、そして自然環境に良い循環をもたらすものでありたい、と思ってるし、日々考えている。

こんな時代だからこそ、なんでもかんでも断捨離ではなく、捨てる前に何か使えないかな?とか活かす場所を見つけるのって、とっても大事な事だと思う。

石垣島の牛脂で、石鹸を作りたい

そして住んでいる石垣島は小さな島なので、ゴミさえも島内では完結しなかったり、する。

ゴミの問題もかなり深刻だ。

その中で去年から販売している"月桃TALLOW SOAP"とネーミングした石鹸がある。

和名で石垣島牛脂石鹸とも書いていて、その名の通り牛脂を原材料とした石鹸。

実は、石鹸の原材料の中で言うと牛脂はそれほど珍しくもないんだけど、牛脂を大々的に謳っている商品が少ないので、びっくりされる事も少なくない。

けど、当然牛脂の化粧品だけにポジティブな反応ばかりではなくて、牛脂とゆう文字を見て、手に取った商品を置いてしまうお客さまも多いらしく、販売店からも牛脂の表記をなんとか変えても良いだろうかと打診された事もある程。

そんなリスクを負いながらもわざわざ牛脂とゆう名前を採用したにはもちろん訳があって。

今の石垣島の牛脂って、市の税金で処理代を払って棄てているんだそう。

工場の社長のお話によると、その昔牛脂は棄てる前に貰って、精製して石鹸の原料として使えていたのだけど、ある時から行政の手が入るようになって、貰えていた牛脂も貰えなくなり、精製を委託していた別の工場(これも、施設に委託する事で雇用を増やしたりしていた)にお願いする事も出来なくなり、今石鹸に使用出来てる石垣島の牛脂は一部だそう。

えーーーーー!!!もったいない!なんてもったいない!!

今までこれ程心を動かすもったいない話があっただろうか。この循環の中に悪い事なんて一つも見付けられない。

ゴミになる牛脂が石鹸や食品に生まれ変わり、市のゴミも減れば喜ぶお客さんもいて、更に雇用を作れる。

それを税金で処理してるからって。

しかも、牛脂の石鹸、動物性でどうなんだろう?って思うけど、本当にしっとりとした洗い上がりで肌にも良いの。まず、ただ単に、使用感が良い。それは石鹸を作るにあたって大前提で。

それもそのはず、牛脂の保湿力は植物油のそれより1.5%も高いらしい。

コールドプロセス法とゆう手法で作るので、熟成している間に牛脂はグリセリンとゆう保湿成分に変わるのです。

そうなったら、もう、石垣島産100%の牛脂で石鹸が作りたい!

最初は本当はクレイやクチャを配合したオリジナリティの高い石鹸が作りたかったの。

けど、全部やめて、一番シンプルな工場オリジナルのレシピをそのまま、あえて『牛脂石鹸』として販売する事にしたのです。

そして石垣島牛脂石鹸って書いてあるけど、今はまだ、100%ではないの。

牛脂の石鹸作って反応あったら色々動けるようになるかな、と思いつつ、大人になると一年ってびっくりするほどあっとゆうまで、その間色々な事があれど、結果まだ何も動けてないのも事実なんだけど、やっぱり考えれば考える程もったいなくて。

しかし、考えれば考える程、きっと行政を動かすしか方法はないとゆう行き止まりに打ち当たるのです。行政に働きかけるなんて初めての事だし、書くことをきっかけに何か賢者のご意見など貰えないかしらと棚ぼた的な気持ちも含めつつ、意思表示をしてみました。


〈自己紹介〉Rasaと言います。2008年に東京から移住し、沖縄県の石垣島とゆう島に住んでいます。現在はSunnyTimeとゆう小さな工房を営んでおりまして、Instagramをメインに商品の事などを紹介しています。noteでは、Instagramで伝えきれていない、商品の誕生するまでのお話だったり、関わってくれている素敵な人達だったり、そもそも素晴らしすぎる石垣島で採れる原料のお話だったり、個人的な事を書いています。

www.sunnytime.net


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