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『性』を用いた洗脳【C・リンドホルム『カリスマ』⑱】

前回は、カルト集団
『マンソン・ファミリー』の話を
してきました。

今回は、その類例である
ジム・ジョーンズの話を
していきます。

注目ポイントは以下の3点です。

・何をやった集団か?
・ジム・ジョーンズの生い立ち
・性を使った洗脳

何をやった集団か?

ジム・ジョーンズが創ったのは
『人民寺院』という集団です。

人民寺院(じんみんじいん、英語: Peoples Temple)は、1955年にアメリカ合衆国インディアナ州マリオン郡インディアナポリスで創設された社会主義キリスト教系新宗教(カルト)。創設者および教祖はジェームス・ウォーレン・"ジム"・ジョーンズ。教団の正式名は、ピープルズ・テンプル・オヴ・ザ・ディサイプルス・オヴ・クライスト(英語: Peoples Temple of the Disciples of Christ)である。ジョーンズはキリスト教と共産主義や社会主義の考え方とを組み合わせ、人種平等(英語版)を訴えた。
(中略)
1978年11月18日に南米ガイアナで人民寺院が開拓したコミューンのジョーンズタウンで、大量殺人、もしくは集団自殺によって信者918人が命を落とした。同日には、アメリカ合衆国下院議員のレオ・ライアンとその代表団のメンバー4人が、ポート・カイトゥマ(英語版)の空港で人民寺院信者によって惨殺されている。このジョーンズタウンでの惨劇は、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生するまで、アメリカ合衆国民最多の被害者数を記録した事件であった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%AF%BA%E9%99%A2

918人の殺人および自殺…
という非常に大きな事件を
巻き起こしたわけです。

あのアメリカ同時多発テロに次ぐ
規模の被害者数
だ…と言われれば
その大きさがよくわかるでしょう。

ジム・ジョーンズの生い立ち

彼もまた、マンソンと同じく
恵まれない生い立ちをしていました。

彼の父親は病弱で冷淡、敵意のかたまりといった男で、ジョーンズがまだ小さいころにしんだ——これはカリスマの典型的な父親像である。ジョーンズは母親と密接なきずなをもった。彼女は結婚によって身分を落としはしたが、比較的高い教育を受け、芸術を解することができるという自負をもった女性であった。また慣行にことごとく逆らい、毒づき、酒を飲み、煙草を吸い、工場で働き、幼い息子を一日じゅう独りぼっちにしておいた。

P316

カルト手段を率いるカリスマというのは
幼いころに、精神を殺されるような
育ち方をしているもの…というのが
この本で述べられていることです。

ジョーンズもまた、その通りに
育っていたということでした。

性を使った洗脳

洗脳のためには
その人の拠り所を破壊する
ことが必要
という話を
以前に紹介しました。

ジョーンズはそれを
性的な活動によって行っていた
人物だったといえます。

信者たちには禁欲を要求していながら、ジョーンズ自身は自分の性的エネルギーをますます強めていった。そして次のように主張した。自分と無限なるものとのあいだには内的なつながりがあるから、自分とのセックスは超越の経験に匹敵するものである、と。その証拠として女性たちは、夫や恋人とのセックスをほんとうは憎んでおり、ジョーンズにしかオーガズムを経験しないと告白することを求められ、一方男性たちは、彼に対して同性愛的魅力を潜在的に感じていることを認めるように強いられた。

P327

ジョーンズによって性的に征服された人間は、「私がほんとうの自分の性質を知ることを手助けしてくださってありがとう」と言って彼に感謝しなければならなかった。性の交わりをもったあと、ジョーンズはしばしばみんなの前で、つまりPCの前か、場合によっては会衆全員の前で、睦みごとの詳細について論じた。それは相手を罵倒し、その性的アイデンティティを傷つけながらも、共同体の化身——すなわち彼自身——との融合を身をもって演じることによって、共同体のなかへより深く彼らを引きずりこむものであった。

P329

男女問わず、ジョーンズと結びつくことを
求められ、
なおかつそれが、
信奉者側の
「自己超越の欲求を満たすもの」だ
…ということにしていた

…というわけです。

性を用いて
アイデンティティを破壊しつつ
共同体へと引きずり込んでいく

それがジョーンズの用いた
一つの洗脳術だったわけです。

まとめ

ジム・ジョーンズは人民寺院という集団を
作り、殺人・自殺で918人の死者を出した

これまで紹介したカリスマと同様
恵まれない生い立ちであった

性を用いて個のアイデンティティを破壊し
人びとを支配した

続き


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