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幸福になる方法 スピノザ『エチカ』第五部

人間が幸福に近づくには
どうしたらいいのでしょうか?

『エチカ』第五部から紹介します。

『エチカ』第五部 定理36備考より

我々の幸福あるは至福または自由が
何に存するか
を我々は明瞭に理解する。
すなわちそれは神に対する
恒常・永遠の愛
に、あるいは
人間に対する神の愛に存する

神への愛の中に幸福・至福・自由がある
ということです。

では、神への愛はどこからくるのでしょう?

定理32系より

第三種の認識から
必然的に神に対する知的愛が生ずる。

とあるとおり
直感知=第三種の認識から生まれます。

神=自然を
直感的に認識できる
ことが
神への愛につながっていくのです。

では、どうしたら
直感知=第三種の認識に近づけるのか?

それには「妥当な認識」
重ねていくしかありません。

直感で何かを感じるには
多くの経験が必要になります。

「認識」をするのは
「精神」です。

まず、身近な「認識」の
対象を考えてみましょう。

それは「感情」です。

特に、私たちが振り回されてしまう
「受動感情」です。

これを「妥当に認識」することが
できれば、神の認識に近づきます。

定理4 備考より

各人は自己ならびに自己の諸感情を
たとえ絶対的にでないまでも、
少なくとも部分的には、
明瞭判然と認識する力を
したがってまたそれらの
感情から働きを受けることを
より少なくする力を有する

誰でも、
感情を妥当に認識する力を持ち
感情に振り回されることを
減らすことができる
のです。

具体的には、どういうことを
やっていけば良いのでしょうか?

定理10 備考より

我々の感情について
完全な認識を有しない間に
我々のなしうる最善のことは、
正しい生活法あるいは
一定の生活律を立て
これを我々の記憶に留め
人生においてしばしば起こる
個々の場合に
たえずそれを適用する
こと

正しいルールを作って
それを覚え
人生で遭遇した各ケースに
絶えず適用し続ける

正しいルールについての一例が、
同じく備考で紹介されています。

例えば我々は憎しみを
愛または寛仁によって
征服すべきであって
憎み返しによって報いてはならぬ

(中略)
理性のこの指図が必要なある場合に
常に我々の眼前にあるためには、
人間が通常加えるもろもろの不法を
思い浮かべ、これを再三熟慮
し、
かつ寛仁によってそれが最もよく
除去されうる方法と経路を
考えておかなくては
ならぬ。

イメージトレーニングと言うと
伝わりやすい
でしょうか。

イメージしておいて
人生で実践を積み重ねる

ただその繰り返し

とても、地道ですね。

魔法のような方法は
無いということ
です。

『エチカ』最後の言葉を引用します。

すべて高貴なものは
稀であるとともに困難である。

稀で、困難であっても
不可能ではないのです。

幸福のため
地道に、一つ一つ
積み重ねていきましょう。



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