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「種」は「分類」に最適のツール!『野生の思考』第5章より

『野生の思考』第5章は
『範疇、元素、種、数』です。

この章の中で
「種」が分類時に
好まれるのはなぜか?

という問題を論じています。

「種」と言うのは
文字通り、種類のことで
たとえば、
人、犬、猫、猿…といった
ものです。

トーテムも、この「種」を
象徴にしたものが多いわけです。

この理由を
レヴィ・ストロースは

「分類の道具」として便利だから

と述べています。

理由の1つ目は
誰から見ても、
違うことが
ハッキリイメージできる
ためです。

P162から引用します。

種の概念が重要なのは、
それが客観性を持って
推測されるため
である。
様々な種の存在は人間にとって
現実の究極的非連続性の
もっとも直感的なイメージであり、
また人間に知覚できる
もっとも直接的な発現でもある。
すなわち、それ〔種の多様性〕は、
客観的コード化の感覚的表現
なのである。

「種」は「個体」の集まりです。
また「種」が集まると「範疇」になります。

範疇 はんちゅう

同一性質のものが属すべき部類。
分類・認識などを支える、根本的な枠組。
カテゴリー。

Oxford Languagesの定義より

「分類の道具」として
「種」よりも
下位の「個体」や
上位の「範疇」ではなく
なぜ、「種」がいいのか
イメージ図を示します。

まずは「個体」の違いの場合

画像1

個体はそれぞれ違うのですが
違いが分かりにくい
ですね。


では「種」より上位概念の
「範疇」の場合ではどうか?

画像3

違うことはわかるでしょう

しかし、人によって
抱くイメージがバラバラ

なってしまいます。


では「種」の違いの場合は
どうでしょうか?

画像2

違いがわかります
犬、猿、馬と言われれば
皆その動物をイメージできますね!

「種」による分類なら
違いが分かりやすいし
皆、同じものをイメージできる
=客観性がある

ということです。

2つ目の理由として
「種」は「範疇」と「個体」の
中間にいる
ので

・多くのものを一つにまとめる
・一つを多くに広げる


というどちらの方向性にも
変換していく
事が容易にできる
ことが挙げられます。

こちらもイメージ図を示します。


画像4

冒頭にも述べたとおり
「分類の道具」として

分類を更に広げる ほうにも
分類をまとめる  ほうにも
操作しやすい性質
がある

ということです。

これまで学んできたとおり
「構造」は「分類」と相関から
生れてくるもの
なので

「分類の道具」として便利な
「種」の概念
は、構造を考える上で
人間に好まれて使われてきた
ということですね。

トーテミズムも
その一つの現われ
ということです。

今日のまとめ

「種」は「分類の道具」として便利!

・違いを皆が把握しやすい!
 =客観性がある
・変換がしやすい!
(一つにまとめる方向にも
 多数に広げる方向にもできる)

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