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哲学者は結婚しない!?でも、ニーチェ自身は… ニーチェ『道徳の系譜学』

第三論文 七 哲学者と禁欲的な理想より

哲学者は結婚を、そして結婚せよと
促すすべてのものを忌み嫌う
のである。
――哲学者にとっては結婚は、
最善なものにいたる道を塞ぐ障害であり、
妨害物
なのである。
これまで結婚していた偉大な哲学者など、
そもそも存在したことがあるだろうか?
ヘラクレイトス、プラトン、デカルト、
スピノザ、ライプニッツ、カント、
ショーペンハウアー
――彼らは結婚しなかった。
それどころか、
彼らが結婚しているところなど、
想像すらできない

哲学者にとっての結婚は
障害であり妨害物だというのです。

確かに、結婚をしてしまえば
妻ができ、子供ができ
守るべきものができる

そうすれば、
自らの哲学を深めていくときの
障害となることもあるのでしょう。

ただ、当たり前のことですが
結婚を妨害物だと考えるのは
一般的ではありません。

妻を作らず、子も作らない人が
多数派になってしまえば
人の力は衰退します。

(少子化、経済の伸び悩み…と言えば
 私たちにも馴染み深いでしょう)

だから、男女で結ばれ子を成すのが
「人間」という「種全体」で見れば
求められることなのは疑いようが無いです。
子が生まれなければ人は滅びるのですから。
(決して個人的な自由の話はしていないので
 誤解の無きようにお願いします)

真の哲学者を目指す人間は
本当にごく少数でいいのだと思います。

さて、ここまで言っている訳ですから
ニーチェ自身は結婚なんて
全く興味が無かったのだろう

…と思いきや

実は、ルー・ザロメという女性に
結婚を申し込み、フラれた
という話が
残っているんです。

NHK「100分de名著」ブックス
ニーチェ ツァラトゥストラより

ニーチェはザロメと北イタリアの
モンテ・サクロという丘を
一緒に散歩しますが、
そのときのことは深く心に
残ったようです。
八月にはニーチェの妹エリーザベトも
連れて三人でタウテンベルクの森に行き、
別の宿ですが近いところに泊まって
ニーチェとザロメは何時間も
語り合いました。

こんな事があったわけですが
結局ニーチェはフラれてしまうわけです。

このルー・ザロメを紹介したのは
ニーチェの親友であるパウル・レー

だったのです。

実は、このレーとザロメが恋仲であり
ニーチェに勝ち目は無かった

というわけです。

(ちなみに、
 パウル・レーの名前は
 『道徳の系譜学』序 四
 道徳の系譜学の全史 にて出てきます。

 このレーの著書
 『道徳的な感情の起源』が
 ニーチェに『道徳の起源』を
 発表するきっかけを与えた

 という話が書いてあります。)

哲学者に結婚は障害でしか無い
…と言いながら、
若い頃には求婚していた
ニーチェ

ちょっと人間臭さが感じられて良いな
と、私は思ってしまいました。

皆さんは、どう思われますか?


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