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苦しみの根源であり、生の”唯一”の理由であるもの【ニーチェ入門】

ときおり、「生きる意味」を
考えてしまいます。らるです。

今日は久しぶりにニーチェの話をします。

最近、もう一度ニーチェを学ぼう…と
思い立つきっかけがありまして
こちらの本を読みました。

(ニーチェの思想を
今の私たちにもわかりやすい言葉で
説明してくれている本なので
おすすめです。)

今日はその中から、
「欲望」についての話を紹介します。


「欲望」は苦しみの元である

人間は要するに、自分のうちのさまざまな欲望によって苦しむ。これは誰でも知っていることだ。苦しみがあまりに大きいと、わたしたちはしばしばこの欲望こそが矛盾(苦しみ)の根源なのだから、いっそ欲望そのものがなければ矛盾もなくなる、と考える。先にも言ったように、仏教の考え方もこれに近い。「煩悩」こそが一切の苦しみや矛盾の源泉であり、したがって「色即是空」と観じて「煩悩」を消し去れば人間は救われるという考え方である。

竹田青嗣. ニーチェ入門 (ちくま新書) (Kindle の位置No.419). 筑摩書房. Kindle 版.

人間は自分のうちの欲望で苦しむ

これは本当にその通りだと思います。

勝ちたいと思うから
負けることで苦しんだり

欲しいと思うから
手に入らないことで苦しんだり

異性に好かれたいと思うから
好かれないことで苦しんだりするわけです。

だから、こんなに苦しむくらいなら
欲望そのものがなくなってしまえばいい

と思うのも自然なことに思えます。

ですが、これをニーチェは否定します。

ニーチェの力点は、人間はその欲望の本性(生への意志)によってさまざまな苦しみを作り出す存在だが、それにもかかわらずこの欲望(生への意志)以外には人間の生の理由はありえない、という点にある。

竹田青嗣. ニーチェ入門 (ちくま新書) (Kindle の位置No.414). 筑摩書房. Kindle 版.

欲望によって苦しみができるが
それでも
欲望以外に人間の生の理由はない

つまり、

欲望=生の唯一の理由

だと言っているわけです。


どんなときに「生」の意味を感じられるのか

「苦しみを生み出す」欲望が
「生の意味」だと実感できる

そんなことがあるのでしょうか?

このニーチェ独自の直観は、彼の青年期の芸術体験によるところが大きいような気がする。また恋愛体験もそういう直観をしばしばもたらすことがある。驚きに満ちた恋愛や芸術の体験の中には、苦しいけれども、その苦しさがまた人間の生きる理由になる、ということを理屈ぬきで確信させるものがあるからだ。もちろんこの直観がその後のさまざまな経験で挫折し、ペシミズムに陥る場合もいくらもある。しかしおそらくニーチェはこの直観を大事なものとして深く育てる道を歩いたのだ。

竹田青嗣. ニーチェ入門 (ちくま新書) (Kindle の位置No.426). 筑摩書房. Kindle 版.

「芸術」「恋愛」
これが一つのヒントになりそうです。

たしかに、これらの体験は
苦しみと、生きる意味とを同時に感じられるような気がします。

芸術に夢中になっている人が
その途中でいちいち「生きる意味は何か」などと
考えることはなさそうです。
(挫折から、一気に人生を悲観するようになる
…ということは多々ありそうですが)


「生きる意味なんてない…」などと
悲観的にならずに、
力強く生きる方法の一つの答えが
ここにある
のかな、と思います。

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