枕元に三冊の本

枕元に三冊の本を置いている。
それを寝る前に少しずつ読む。一章でもいい、1話でもいい、1ページでもいい。一段落でもいい。とりあえず毎日、3冊の本を読んでいる。

3冊はジャンルが異なることが多い。
今は、
『サハラに死す――上温湯隆の一生 (上温湯隆)』
『ずっと、おしまいの地(こだま)』
『インタビュー(木村俊介)』

3冊の内、気乗りしない作品がある。そのタイミングの気分だったり、言葉や考え方が合わなかったり、なんか文字が入ってこなかったりで様々。ただ、読んでしまたい。買ったんだから読んでしまいたい。
気乗りする本をおかずとして、気乗りしない本を読めば、気乗りせずとも読めるようになった。気が乗らなくても、とにかく1ページでも読めば、おかずの本を読める。そのモチベーションを使えばどんなに時間がかかっても大抵の本は読める。どんな本でも1ページ読めば、なんだかんだ続きが気になり、読み進めていってしまい、1ページだけで読み終えることは稀だ。

今の三冊で言えば、『ずっと、おしまいの地』は、先に食べて食欲(読む欲)のブーストをかけるためのおかず本。つぎにちょっと言葉が合わない『インタビュー』を主食として読み、最後にメインのおかずとして『サハラに死す』を読む。といった具合に。

例え主食本が1ページだけだったとしても、おかず本はもっと読み進められたり、場合によってはその逆もある。
ジャンルが違う本でも、シナプスが神経を結ぶように、頭の中で言葉やテーマがつながる瞬間があって、そんなときは主食もおかずもうまい。主食もおかずもないカレーになる。この読み方で一番気持ちいいタイミング。
どれか一冊を読み終えれば次の作品がメニューに加わる。組み合わせによって、その読み応えが変わるときもある。作品単体の良し悪しでなく、3つの組み合わせで面白さが変動する体験としての面白さになる。

3冊もあれば、どんな日であれ、どれかは読む勢いが乗る。だからどれかは1ページだけだったとしてもトータルでそこそこのボリュームを読んでしまえるので、「ちゃんと読書できてるよ私!」って気分を味わえる。
勢いが乗ってても、少しでも文字が入ってこなくなったらそこで読むのをやめるようにする。惰性で文字を追っても、頭に入ってこなければ読んでないのと一緒。
栞やしおりの紐は使わない。昨日どこまで読んだかはパラパラしながら記憶をたどり探す。記憶を脳みそに浮かび上がらせる儀式のよう。大抵、どこまで読んだかは見つかるので、儀式を終えたら今日の読書が始まる。

いっとき4冊でやってみたが、続かなかった。前日の読んだ内容が4冊分に薄くなり、記憶も薄まる。体力的にも4冊は量的に読むのがしんどくなる。おかずの量多めでも無理だった。
やはり3冊がいいらしい。たいていのことは3くらいがちょうどいい。ボールペンの色数とか。○○BEST3だとか。映画のシリーズも3まででいい(特にトイストーリー)。

『ずっと、おしまいの地』は今日で読み終える。明日から新しいメニューが追加する。今の主食である『インタビュー』の味がどう変わるか楽しみ。

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