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運命と私108 (吐き気)

祐一はオドオドしながら、
私とその女の子を交互に見ていた。

23、4歳ぐらいの若い子で、
背は小さく、
少しぽっちゃりした可愛い顔の女の子だった。

「ねえ!誰なの?」

女の子が怒り口調で祐一に問いかける、

「オレの彼女・・・」

祐一が小さな声で言った。

「えっ!彼女いたの?信じられない!サイテー。」

そう言って彼女は自分の荷物を持って部屋から出て行った。

私とすれ違った時に、
私のことを睨みつけてスタスタと歩いて行った。

祐一は彼女に「帰り道わかる?」と聞いた、
車で来たので帰り道がわからない様子だった。

「あの子を送って来るからここで待ってて!
絶対待ってろよ!」

そう言って祐一は出て行った。

私は祐一の部屋で1人になった。

テレビの音がうるさかったので、
テレビを消して、リビングを見ると、
私が買って来た、
ペアのグラスで二人でビールを飲んでいた、
いつも二人で座っていた青いソファに、
あの女と座っていたと思うと、
もう2度とソファに座りたくないと思った。

奥の部屋のベッドは綺麗になっていた、
私は来なかったら、
あのベッドで・・・

そんなことを考えていると、
インターフォンが鳴った。

出ると宅配ピザのお兄さんだった。

「お待たせしました。」

私は温かいピザを受け取った。

「4500円になります。」

「えっ!」

私は財布から5000円を出してお金を払った。

「はい、500円のおつりです。
ありがとうございました。」

お兄さんは帰って行った。

私がインターフォンを押した時に財布を持って出て来たのは、
ピザ屋さんと私を間違えたのね。

二人が食べるはずだったピザを受け取り、
ピザの代金を私が払って・・・
バカみたい。

ピザの匂いがきつくて吐き気がした。

私はピザを机に置いて祐一の家を出た。

つづく


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